本書は日頃政治を遠ざけている人々に向け、若手政治学者が民主主義の「しくみ」をイチから解説し直した一冊だ。
 政治への「諦め」はなぜ起こるのか。それは日本の政治が民主主義を掲げながらその実、有権者の要求が反映されにくい制度だからだと著者は推理する。民主主義の基本は「多数決」の原理だ。そこで決定の要となる選挙制度や政党組織に着目し、現在の政治で「多数派」が形成されるプロセスを見てゆく。例えば日本ではなぜ自民党が長らく政権与党の座にあるのか、疑問に感じたことのある方もいるかもしれない。著者は地方議会との関係に目を向ける。自民党は自らを応援する地域に優先的に補助金を配分し、支持を拡大する。それによって地方議会での「多数派」形成に成功してきたというのだ。
 こうした具体的な説明に、読み進めながら思わず膝を打つ。「政治は自分と無縁」と国民が感じてしまうのは相応の問題点があるからだと理解できる。その上で自分が今後政治にどう関わるか、考えるヒントとして活用したい。

週刊朝日 2015年4月24日号

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