それまで9時だった試合開始時間を少しでも早めて涼しい時間にしようと、8時45分からに繰り上げた。

「そうすると、宿の朝食の時間も早めなければならない。群馬県サッカー協会がホテルや旅館を1軒1軒まわって、お願いした」

 ピッチや運営スタッフの増加で膨らんだ開催費用については、JFAが熱中症対策として補助金を支給した。

「前橋の大会は、熱中症対策ガイドラインを遵守した最初の大会になりました。日本クラブユースサッカー連盟や群馬県サッカー協会には本当にがんばっていただきました。その努力やJFAの意図を他の都道府県サッカー協会もわかってくれて、多少自腹を切ってでも、ある程度の対策をとってくれるようになりました」

インターハイ開催地も変更

 ところが、この「前橋方式」を採用しても、熱中症を防ぐことが難しくなっている。

「今年、前橋の大会を訪れたところ、WBGTは34度を超えていました」

 ガイドラインには「WBGT=31度以上になる時刻が試合時間に含まれる場合は、事前に『JFA熱中症対策』を講じた上で(中略)スケジュールを組む」とある。

 その熱中症対策とは、「会場に医師、看護師、BLS(1次救命処置)資格保持者のいずれかを常駐させる」「クーラーがあるロッカールーム、医務室が設備された施設で試合を行う」などである。

「これらの対策を講じれば大会を開催できるか、というと、もう限界にきている。では、次にどうするか。その一つが、会場を冷涼地に変えることです」
 

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会場を涼しい場所に