「児童精神科医」になるには、トレーニングを経て精神科専門医か小児科専門医となった上で、日本児童青年精神医学会の認定医資格を取得する。日本児童青年精神医学会認定医数は、501人(23年4月1日)にすぎない。

資料提供:宇佐美政英医師

「心療内科医や小児科医、精神科医の中には児童精神科医と同様の診療ができる医師もいますが、全く足りていません。診療している医師に大きな負担がかかっている状況です」(宇佐美医師)

 全国児童青年精神科医療施設協議会が加盟医療機関に勤務する児童精神科医75人に行った調査によると、児童精神科医1人が担当する外来患者数は平均132人(最大360人)。児童精神科医の56%は、通常の勤務における退勤時間が19時を過ぎていた。

子どもの診療は手間も時間もかかる

 なお、この調査では、80%以上の児童精神科医が、「初診に60分以上、再診に30分から60分の時間を要している」と回答。子どもの心の診療には時間がかかることが、浮き彫りになった。宇佐美医師は言う。

「大人の精神疾患は、うつ病にしろ、統合失調症にしろ、効果が期待できる薬がたくさんありますが、子どもに安全性と有効性が確認された薬はほとんどなく、使えたとしても効果が出にくいことがあります。また、大人は『今この状態だから、こういう治療が必要』と論理的に説明すれば納得してもらえることが多いですが、子どもは理解できなかったり、思春期ともなれば、『大人の言うことなんか聞いてたまるか』と理屈を言われれば言われるほど反発したりすることもあります」

 まずは子どもと他愛のない話をしたり一緒に遊んだりして時間をかけて関係を築く。その上で子どもがどのような問題を抱えているのかを一緒に考え、子ども自身が解決に取り組んでいけるように支えていく。また、家庭環境や学校との関係、どうやって社会復帰させていくか、さまざまなことを考慮しながら治療を進める必要もある。

 児童精神科医により早く診てもらうに越したことはないが、長期間の診療待ちを余儀なくされている現状で、どう行動すればよいのだろうか。宇佐美医師はこうアドバイスする。

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