アルプススタンドを彩る多彩な応援風景──いつの時代も変わらぬ甲子園の風物詩が、声出し応援の解禁でようやく戻ってきた。迫力の吹奏楽、華やかなチアリーディング。今年はどんな応援が見られるか。「甲子園2023」(AERA増刊)の記事を紹介する。
「フレー! フレー!」
千葉大会の初戦が目前に迫る月曜日、体育館では応援全体練習が行われていた。チアリーディング部、吹奏楽部、野球部が集ってのエール交換の練習だ。チアリーディング部顧問の神谷麻以教諭は真剣な表情で練習を見守る。
「毎年声出し応援ができていれば、自然と『フレー』の長さが合うのですが、なかなか難しいですね」
コロナ禍では「声を出して応援するな」と言われてきた。今春の選抜から声出し応援が解禁。もっと声が出るはず。部員たちはこれまでの体幹トレーニングの強度を上げ、今はプランクをしながら校歌を歌う。
部長の小川万乃さんら3年生は、1年時の夏と今春、甲子園のアルプスに立ち、その大きさに圧倒された。
「応援の人の数が違うし、球場が広くてエール交換の声が届かないんじゃないかと思うほどでした」
同部は今春からユニホームを新調。野球部と同じデザインで、半ズボンタイプになった。小川さんは決意を込める。
「野球部と同じ看板を背負っているんだと、より責任感が生まれました。声は大きく、明るく、応援したい」
(AERA編集部・秦正理)
※AERA増刊「甲子園2023」から