「あせもは汗が出てはいるのですが、うまく皮膚の表面に放出できず、汗腺が詰まることで起こります。汗が汗腺に詰まった状態だと皮膚の細胞は汗を異物だと認識し、排除しようとして炎症を起こすのです。すると汗腺が壊れてさらに汗を放出しにくくなり、湿疹ができます」(藤本医師)

子どもにあせもができやすい理由

 ▼子どもは汗を放出する能力が未熟であること、▼皮膚が弱く湿疹ができやすいこと、▼汗腺の密度が高いために汗の通過障害を起こしやすいことなどが重なり、大人よりもあせもができやすくなります。

 予防としては、前述したように汗をかくトレーニングによって、汗を放出する能力を高めること、さらにできるだけ炎症を起こさないように、皮膚の表面を清潔に保つことが大事です。

「汗に含まれる塩分や皮膚についたほこりをそのままにすると炎症を起こす原因になるので、汗が出たら放置せずに洗い流したり、濡れたタオルでふきとったりするようにしましょう。また、皮膚が乾燥している場合も炎症を起こしやすいので、しっかり保湿することも大事です。すでに湿疹ができている場合は、早めに皮膚科を受診してください」(藤本医師)

若い世代が悩みやすい多汗症

 日常生活に支障をきたすほど大量に汗をかく、多汗症に悩まされる子どもいます。汗をかく部位によって違いがありますが、手のひらや足の裏に汗をかくタイプは、比較的低年齢で自覚しやすく、幼稚園の活動などで紙がすぐに湿るので折り紙ができない、手がすべって粘土遊びがうまくできないといった支障をきたすこともあります。一方わきの下は、汗をかく能力が発達する思春期ごろに自覚するのが一般的です。

「多いのは、中学生になって制服を着るようになって気になりだすというケースです。制服のシャツは汗を吸いにくい素材を使っていることが多く、汗が目立ってしまうのです」(藤本医師)

 多汗症でも健康上に問題があるわけではないので、保護者は単なる「汗っかき」だと放置することもあります。本人が気にしていなければ全く問題はありませんが、気にしている場合、将来の対人関係や社会活動に影響を及ぼす危険性があります。

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汗が気になって自己肯定感が下がることも