※写真はイメージです。本文とは関係ありません(MWayOut / iStock / Getty Images Plus)

メディアよりも上を行かなきゃ

(死者数が)一番多いのは、善法寺という己斐という町で一番大きいお寺でした。善法寺に遺骨が1万体あったなんていうことはみな誰も知らない。だから「2万もの(亡くなった)人を己斐で焼いた」という話を僕がしたら、聞いた人は「そんな馬鹿な」というような顔をして僕をいつも見るので、「じゃあ、善法寺へ行ってごらん、あそこに1万ほど遺骨があったんだから」と言ったり、公文書を見せて「高須で5千人を焼いた」と書いてあることを示してみせたりするうちに、僕が勝手に作り話をしているのとは違うと、だんだん信用してもらえるようになったんです。被爆調査を1千人以上やったのは世界で僕しかいない。そういう自信があります。

 メディアのみなさんよりも僕は上を行かなきゃならないということですからね。全部間違いじゃないかと言われたんじゃ成果ないからね。だから、わからないことを聞きに行ったりしているうちに、地元ではだいぶん有名になっちゃったから、僕を見つけたら情報をくださるようになりました。そうして情報が入ってくるようになった。広島市内にだんだん広がっていって、他県に行くようにもなりました。

 県立図書館に行ったり、中央図書館に行ったりして、新聞は朝日、毎日、日経とかの縮刷版を全部調べるわけです。全部見るのにものすごい時間がかかった。その中に週刊誌の広告が載っているでしょう。あれを見るんですよ。そして県立図書館を通して国立国会図書館にその週刊誌を請求するんです。そうして、返ってくるものを見せてもらった。

 ただしお金が随分かかって、コピーが1ページ170円ぐらいかかったけれども、ずっとそれをやっていた。英字新聞「マイアミ・ヘラルド」とか「ボストン・グローブ」なんかも手に入れて読んでいくんですよ。そう簡単ではないですよ。だいたい語学力が必要。普通の語学力じゃダメだけど、でも必死でやった。そのために7冊辞書を買い替えました。専門家が相手だから専門書も買い集めた。そういうことをずっと、やってやってやりまくっていた。

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なぜそこまでやったのか?