宮藤官九郎と大友良英がドラマ「季節のない街」でタッグを組んだ。「あまちゃん」タッグだ。山本周五郎の同名小説の映像化で、宮藤が企画・監督・脚本を、大友が音楽を担当した。AERA 2023年8月7日号から。
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―ドラマ「季節のない街」は、宮藤が長年、温めてきた企画だ。山本周五郎の同名小説を黒澤明が映画化した「どですかでん」に影響を受けたという。音楽を大友に依頼したい、と考えた理由はどこにあるのか。
宮藤官九郎(以下、宮藤):脚本を書いている段階で、ある種ユートピアのような、ガチャガチャしつつも人々が賑やかに過ごしている世界を想像していたら、「劇伴は大友さんがいいな」と思ったんですね。僕が脚本を書き、監督は別の方が務める作品では何度かご一緒しているのですが、「皆さん、どうやって発注しているのだろう」というところから始まって。
大友良英(以下、大友):監督によって発注って全然違うんです。
宮藤:どんなやりとりを経て、大友さんの曲が生まれているのだろう、と初めはそこもわかっていなかったです。
大友:僕は「宮藤さんからの依頼だ」と、うれしかったですよ。僕の場合、脚本を読んだ段階で音楽を決めてしまうと、たとえば監督が全然違うことを考えていたら、修正できなくなるから、決め込まず監督と会ってから考えるようにしています。監督がどうしたいかの方が大きいかな。
宮藤:そうですよね。僕は最初に、「『どですかでん』から離れたいです」という話はしました。物語の舞台を仮設住宅に変えているので、重苦しくしたくないということもあり、深みがある感じよりは、“お祭りっぽい感じ”がいいです、と。
映像につけてわかる
大友:「祭り」はキーワードでしたね。最初に、見えない電車を運転する(濱田岳さん演じる)六ちゃんが登場するシーンの映像が送られてきて、それにライブで実際に演奏した音楽をあわせて作ってみたんです。僕のなかで「これだ!」と思えるもので、すぐにOKが出て「あ、掴みはOKなんだ」と思ったかな。