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純正にはないAPS-C用大口径広角ズーム
昨年のフォトキナで開発発表されていたAPS−Cサイズ一眼レフ用の超広角ズーム。ニコンやキヤノンにはこのクラスのAPS−C用の大口径広角ズームレンズはラインアップされていないので、F2.8通しの広角ズームが欲しいAPS−Cユーザーにとっては貴重な存在だ。
同社にはAT−X 116 PRO DX IIという11~16mmF2.8レンズがあるが、このレンズではそのテレ側を20mmまで伸ばすと同時に、画質面の見直しを図っている。テレ端が35mm判換算で30mm相当になるため、利便性は確実に上がっている。
11~16mmに比べるとわずかに(10g)重くなり、価格も実売で2万円位高いが、最短撮影距離が30cmから28cmに少し短くなっていることなどを考えると納得できる範囲内だろう。ただし、フィルター径はついに82mmとなってしまい、PLフィルターなどをほかのレンズと共用して使い回すのは難しくなった。今回はニコンD5300と組み合わせて使ったが、APS−Cサイズのローパスフィルターレス2416万画素に対してレンズが解像負けする印象はまったくなく、どこまでもシャープでキレのいい描写だ。
河田一規
デザイン
鏡胴外装は基本的に強化プラスチックだが、トキナーのAT-Xシリーズに共通した高級感のある仕上げ。このクラスの広角ズームとしては比較的コンパクトではあるが、フィルターサイズは82mmと大きい
使用感・操作感
ズームリングの回転トルクはやや重めだが、個人的にはこのくらいのほうが使いやすい。ズーミングにより前玉位置は変化するが、外側鏡胴の内側で前玉位置が前後するだけなので、ズーミングによるレンズ全長の変化はない。ピントリングを手前へスライドさせると瞬時にMFへ切り替わる機構の使い勝手もいい
描写性
歪曲収差はズーム全域でかなりよく補正されており、建物や屋内など直線を含む被写体を撮影してもほとんど気にならない。解像感は非常に高く、絞り開放からピントの立ち上がりがシャープな描写だ。あまりにカリカリすぎて乾ききったような印象なので、もうちょっとシットリとした潤いがほしいところだが、それはぜいたくな要求だろうか
●焦点距離・F値:11~20mm・F2.8●レンズ構成:12群14枚(P-MO非球面レンズ1枚、非球面レンズ2枚、SDガラス3枚)●最短撮影距離:0.28m●最大撮影倍率:1:8.62●画角:104.34~72.42°(ニコン用)●フィルター径:Φ82mm●マウント:キヤノンEF-S、ニコンDX●大きさ・重さ:Φ89×92mm・560g●価格(税別):10万円(実売 税込7万6550円)