岸田内閣の支持率は、共同通信の7月の世論調査では前月比6.5ポイント減の34.3%で、時事通信では「危険水域」の2割台目前の30.8%となっている。G7広島サミットが開かれた5月をピークに、内閣支持率の下落が止まらない。
岸田文雄首相は9月に内閣を改造し、党人事も一新する予定だと言われている。参院補選が行われる10月22日に合わせ、衆院が解散されるとの話もある。だが内閣支持率が低下する現状がこのまま続けば、それも困難だろう。しかも朝日新聞の世論調査では、自民党の政党支持率が28%まで下落している。
原因は次々とトラブルが発覚しているマイナンバー問題のほか、岸田首相の秘書官だった長男・翔太郎氏の公邸記念撮影スキャンダル、そして岸田首相の懐刀と言われる木原誠二官房副長官の「愛人・隠し子」問題に加え、妻の元夫の不審死疑惑などが考えられる。それでも「岸田降ろし」が始まらないのは、強力なライバルがいないからだ。
ポスト岸田と目されているのは、青木幹雄・元参院自民党幹事長の死によって名実ともに平成研を掌握した茂木敏充幹事長、西村康稔経済産業相や河野太郎デジタル相らだ。なかでも河野氏は2021年の総裁選で169票の「党員票」を獲得し、110票の岸田首相を上回った。国民の人気という点においては、河野氏は岸田首相を上回っていると考えていい。世論調査の「次の首相」でも河野氏は常に上位を占める。
しかし自民党総裁は党員票だけで決まるわけではなく、国会議員票の影響が大きい。実際に2021年の総裁選の第1回投票で河野氏が獲得した国会議員票は86票で、146票の岸田首相はもちろん、114票の高市早苗経済安全保障担当相にも及ばなかった。
また、このとき1位の岸田首相が過半数に達しなかったために2位の河野氏との間で決選投票が行われたが、やりなおした国会議員票の多くが岸田首相に投じられ、河野氏は総取り方式で党員票の83%を得たものの、敗退した。