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フルサイズ用手ブレ補正搭載超広角ズーム

 フルサイズ対応の超広角ズームで大口径のF2.8通し。しかもこのクラスでは初の手ブレ補正機構搭載で、昨秋のフォトキナでも注目を集めた。重さ1kg超の太い鏡筒はレンズが詰まった重厚感で、せり出した前玉はそれだけで描写力に期待をさせられてしまう貫禄がある。

 手ブレ補正機構が超広角ズームレンズに搭載されたことで、明るさが乏しい室内や夜間でも三脚の立てようがなかったシチュエーションなどで超高感度に頼ることなく手持ち撮影が可能になる。また開放から2段まではほぼ円形絞りなので、近接撮影では、背景に軟らかなボケ味を得たワイドマクロの作画などもできる。超広角レンズ元来の特長であるパースの強調やデフォルメとあわせて表現力が多彩で守備範囲の広いレンズといえるだろう。

 大口径タイプでは軒並み20万円超の高級超広角ズームがそろうなか、まったく見劣りしない仕様で標準価格は、はるかに安い14万円。フルサイズ機ユーザーだけでなく、超広角ズームの大口径レンズが乏しいAPS-Cサイズの一眼レフ機のユーザーにとっても大いに気になる存在のはずだ。

宇佐見 健




往来の中、人の流れを表現するため低速シャッターを切る。ただの手持ちではなく、両腕で頭上に掲げたライブビュー撮影にチャレンジできるのは、手ブレ補正機構のおかげ。こんなに重いレンズなのに機動力は高いのだ●15mm時・キヤノン EOS 6D・絞りf10・2分の1秒・ISO250・AWB・RAW
往来の中、人の流れを表現するため低速シャッターを切る。ただの手持ちではなく、両腕で頭上に掲げたライブビュー撮影にチャレンジできるのは、手ブレ補正機構のおかげ。こんなに重いレンズなのに機動力は高いのだ●15mm時・キヤノン EOS 6D・絞りf10・2分の1秒・ISO250・AWB・RAW




デザイン
固定式の二重構造の大型レンズフードは、テレ側ではレンズが後退する結果、外フードが深くなり効率よく有害光をカットする。素材は樹脂製で万一の落下事故でも内側のフードを保護するようだ

使用感・操作感
ズームリングの回転操作は少々重いが俯瞰・仰瞰撮影時に自重落下でズームが動くことはない。AF駆動は静粛かつ俊敏でフルタイムMFによるピント調節も可能だ

描写性
絞り開放での周辺光量落ちと少しの色収差が気になるが、2段も絞れば画面全体でカチッとした描写を得られる。新コーティングは優秀で、太陽を画面に配した強逆光でもそこそこ耐える


●レンズ構成:13群18枚(大口径ガラスモールド両面非球面レンズ1枚、非球面レンズ2枚、LDガラス1枚)●最短撮影距離:0.28m●最大撮影倍率: 1:5●画角:110°32′~71°35′●フィルター:装着不可●マウント:キヤノンEF、ニコンF●大きさ・重さ:Φ98.4×142.5mm・1100g(ニコン用)●価格:税別14万円(実売 税込み12万6900円)