23日に千秋楽を迎える大相撲名古屋場所に熱い視線が注がれている。大栄翔、豊昇龍、若元春の3関脇の大関昇進がかかる今場所。「直近3場所を三役で33勝」が昇進の目安(過去には未達成でも昇進した例はある)とされ、もし3人同時の昇進となれば、史上初の快挙だ。
幼稚園からの大相撲好きで、ファン歴46年になる都内の会社員の男性(51)は、「最近は高いレベルで実力が伯仲した横綱や大関がいない。3関脇が大関に上がるのを機に角界全体のレベルが上がって、若貴時代のような面白い大相撲が戻ってきてほしいね」と話す。
ブーム再燃を予感させる角界であるが、力士の強さと指との関係を調べた興味深い研究がある。人差し指と比べて薬指がより長い力士ほど、番付が高く、勝率も優れているというのだ。
この研究について伝えると、前述の男性はちらっと自身の手に目をやり、一言言い放った。「ほんとに?」。小学生時代、校内番付で横綱に君臨していたという男性の薬指を見ると、やはり長かった。
……それはさておき、前述の力士の成績と指の関係の研究を行った共同研究者の一人である、明治学院大学国際学部の李嬋娟(イソニョン)・准教授(労働経済学)に話を聞いた。
「確かに不思議に思うのもわかります。ですが、実はこれまでにも指の長さとスポーツにおけるパフォーマンスの関係は研究されてきました」(李氏)
これ以前の研究では、ラグビーやスキー、フェンシングなどのスポーツが対象となっており、いずれも人差し指と比べて薬指が長ければ長いほど、スポーツのパフォーマンスも高いという結果を示していた。それを大相撲に当てはめてみるとどうなるのか、と思い立ったのだという。
研究は、李氏が大学院生時代に、指導教官らとともに実施した。両国の相撲博物館に収蔵されている1790年以降の十両から横綱までの日本人力士で、かつ既に現役生活を終えた力士の手形を対象にデータを集めた。その中からデータの実証に使えるものを選び出し、最終的には、143人の手形を分析に用いたのだという。