市川猿之助
市川猿之助
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 歌舞伎俳優の市川猿之助容疑者(47)は18日、父親の段四郎さん(享年76)に睡眠薬を飲ませ、自殺を手助けしたとして、自殺ほう助の疑いで警視庁に再逮捕された。先月27日には、母親の延子さん(享年75)への同容疑でも逮捕されていた。2件とも起訴され有罪となった場合、どのような量刑が科されるのだろうか。元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士に、見立てを聞いた。

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――今回、警察が自殺ほう助容疑での再逮捕に踏み切った背景は何が考えられますか?

 警察としては、自殺ほう助ではなく、殺人容疑で立件する可能性も探っていたと思います。しかし、「家族3人で次の世界に行こうということになった」と、あくまで両親の自殺を助けたと主張する猿之助容疑者の供述を覆すだけの証拠が出てこなかったのでしょう。

 また先月、母親に対する容疑で一度逮捕してからずっと取り調べを進めてきたものの、供述内容に変化がなかったことも考えられます。日本の刑事事件は、本人の供述に沿った形で事実を認定していくという限界があるので、今回もその通りになったのではないかと。

 今後の裁判対策という意味でも、争われずにすんなりと有罪で確定させるために、自殺ほう助容疑で逮捕しようという結論に落ち着いたのだと思います。

――今後、両親二人ともに対する自殺ほう助の罪で起訴され、裁判で有罪判決が下った場合、どのような量刑が予想されますか?

 懲役3年くらいで、執行猶予がつくと思います。自殺ほう助は、刑の重さでいえば軽い部類に入る犯罪です。たとえば、誰かを殴ってけがをさせるなどの傷害罪の場合の懲役刑は「15年以下」なのに対し、自殺ほう助の場合は「6か月以上7年以下の懲役または禁錮」です。

 自殺願望を持つ人をネット上で募り、死ぬことを手助けをするような悪質な事案とは異なり、今回は親族間で起きているという事情もある。両親二人に対する自殺ほう助で有罪となったとしても、執行猶予はつくと思います。

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今後は「悪質性を問われる可能性も」