![ミッチ・オーウェンズ自身は193cmと恵まれた体躯だが「フッティはポジションによっては高身長は求められません。170cm代の選手もたくさんいます。日本人の身長でも活躍できます」。母の麻紀さん(右)は「去年も激しいプレーで脳震盪を一度起こしたんです。もう二度としてほしくないと思っていたのに、またやって。母としては複雑です」(撮影/渡邊美穂 取材協力/オーストラリア大使館)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/6/c/682mw/img_6cba88d0e95d4b570092537f43276010118284.jpg)
続けて、自身のメンタル調整法を語る。
「試合中にエラーをすると、怒りがわき自分のことを責める。そうするとまたエラーをしがちです。そうならないよう呼吸法を使って自分をリラックスした状態に戻し、次のプレーに集中します。ゲームの後はスイッチオフ。犬を散歩に連れていったりします。ゴールデンリトリバーでまだ10か月の子犬。カワイイ!」
ミッチは男3兄弟の末っ子。2人の兄もフッティ選手で、AFLの下部リーグでプレーしている。
父のキャメロンさんと母の麻紀さんが出会ったのは、東京だった。麻紀さんが言う。
「1993年ごろ、仕事帰りに英会話スクールに通うのがトレンドでしたので、私も通ったんです。彼はその学校の先生でした。98年に結婚して、主人の故郷・メルボルンに移住しました」
キャメロンさんもフッティの選手で、息子たちは自然とプレーを始めた。
「ミッチは物静かな子でしたが、兄たちと一緒に身体を動かしていたこともあって、同い年の子よりも早くからいろいろなことができました。同級生たちからは『ミッチはすごい』と思われていたようです」(麻紀さん)
![オーストラリアの国民的競技、フッティ。試合前にスポーツバーでビールを楽しむファンたち(撮影/渡邊美穂 取材協力/オーストラリア大使館)](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/9/4/840mw/img_948463beed892edf105a18f0b0e5dc62145339.jpg)
ミッチのインタビューを行った日、メルボルンで行われた別チームの試合には、8万3578人もの観衆が入った。この試合はチャリティーマッチ。ニール・ダニハーという伝説的選手が筋委縮性側索硬化症に罹患したこともあり、同病治療研究費の募金活動が行われ、なんと243万6315オーストラリアドルもが寄付された。日本円にして約2億4000万! オーストラリアにおけるスポーツと社会活動の深いつながりがうかがえると同時に、いかにフッティが国民から愛されているかも分かる。
実は日本でも本場AFLの下部組織にあたるリーグがある。ミッチは昨シーズンのオフに来日し、日本チームのトレーニングに参加し、手助けもした。
「できれば毎年日本に行って、日本での発展に貢献したい。いずれはワールドカップをやれればいいなと思っています」
その時は、ヌートバーのように日本代表として出場して欲しい。
(ライター・菊地武顕)
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