【※ネタバレ注意】以下の内容には、今後放映予定のアニメ、既刊のコミックスのネタバレが含まれます。
『鬼滅の刃』の魅力は、鬼殺隊の隊士たちの苦悩、彼らの家族愛と友情、悪役であるはずの鬼の悲哀、迫力ある戦闘シーンなど多岐にわたる。そして、これらの緊迫した場面の対極にある、ユーモラスなワンシーンも好評の一因だ。次のアニメ「柱稽古編」は、鬼殺隊たちのコミカルな様子もたくさん描かれる。その点でも、注目すべきキャラクターは、鬼滅の“準主役”的なポジションにいる、水柱・冨岡義勇だろう。クールな美貌ながら、無口で不器用なために、ときには“嫌われ者”と言われることも。過去も含めて謎多き人物だが、「柱稽古編」では義勇の“素”の部分が表情として現れるシーンがある。義勇の外見と内面のはざまにある、彼の本心について考察する。
* * *
■水柱・冨岡義勇の外見的特徴
『鬼滅の刃』の連載が「週刊少年ジャンプ」(集英社)で開始される以前、その前身となる読み切り作品『過狩り狩り(かがりがり)』が、第70回JUMPトレジャー新人漫画賞(2013)の入賞作品となった。憂愁な雰囲気を漂わせる主人公の剣士は、鬼殺隊の水柱・冨岡義勇を想起させるもので、作者の吾峠呼世晴氏による「人ならざるモノと戦う剣士」のルーツがここにみえる。しかし、鬼滅の義勇には「美」の要素がかなり加わっており、どんな厳しい戦いでも涼やかであることが、義勇の「剣士としての凄み(すごみ)」を示す特徴にもなった。
アニメ新シリーズ「柱稽古編」のティザービジュアル(※画像参照)では、膝をついたまま抜刀しようとする義勇の姿があまりにも美しく、アニメ制作側のこだわりが細部まで感じられる仕上がりとなっていた。
■義勇は人づき合いが苦手?
この義勇のティザービジュアルに添えられたキャッチフレーズは、那田蜘蛛山の戦いにおけるセリフから抜粋されている。
「己の怪我の程度もわからない奴は 戦いに関わるな」(冨岡義勇/5巻・第38話「本物と偽物」)