――女性お2人は、実際にスカートかパンツかを面接官が見ていると感じましたか。
桃山 女性の面接官にはすごく感じたことがあります。スカートで行ったときにパンツスーツの女性面接官が、上から下までなめ回すように見てきて「お前、その脚はなんやねん」って言っているように感じました。服装にプライドと言うか、こだわりがあるのだとは思いますが。
殿間「(うんうんとうなずく)」
――西村さん、そんな面接官は実際にいる?
西村 この場面ではこういう服装をすべきだ、という自分の方程式と合っていない学生を否定しようとする面接官は実際にいます。スーツをちゃんと着ているわけで、まったく重要なことではないですから、学生にとっては災難ですよね。
――「ルッキズム」や「セクシズム」とまでいうと大げさかもしれませんが、見た目重視の風潮はなくなるべきだと思う?
殿間 いえ、最低限の笑顔は必要だと思います。営業の人なら笑顔は必要ですし、事務職でパソコンにずっと向かっている仕事だとしても、職場の方とのコミュニケーションは必要ですから、それができないようだと採用されなくても仕方ないと思います。
桃山 学生側も(笑顔は)見せるべきところは見せないと。自分が働いている姿を面接官に想像してもらえないとですよね。髪形とか化粧の細かいマナーはなんか違うなと思いますが、笑顔は必要です。
――海外の山崎さんは?
山崎 現実的に、笑顔が出せた方がいいとは思います。一緒に働いている姿を想像してもらえますし。ただ、笑顔が出せないことだって個性のひとつじゃないかとも思っています。極端な例え話ですが、面接中に斬新なビジネスの発想が生まれてしまうような天才肌の人で、その結果、たまたま表情が硬いだけなら「この人いいね」って思ってもらえるかもしれませんよね。作為的な笑顔より、なぜその表情なのかという点も拾いあげてほしいです。
――企業の人事ともかかわる西村さんから見て、企業側の見た目重視の姿勢は変わっていきそうですか。
西村 「一般職」って言葉があった時代の、男尊女卑的なものは薄れてきていますよね。僕が就活していた20数年前は、その状況に悩んでいた女子の友達が何人もいましたから。ただ、一緒に働く仲間になるのですから、「清潔感」だとか「笑顔」だとか、誰もが好感を抱く要素が重視されるのは基本的に変わっていません。頭脳明晰で語学堪能とスペックは完璧なのに、人の目を見て話せなかったり、コミュニケーションが取れなかったりして、どこにも内定をもらえない学生が実際にいますから。