家賃や生活資金、老後資金など、お金の不安がまったくないという人はいないのではないだろうか。早稲田大学スポーツ科学学術院教授で精神科医の西多昌規さんは「将来のお金に不安を抱くのは、みんな一緒。確かな未来がない限り、漠然としたお金の不安がすべてなくなることはない」という。西多さん監修の『やめてもいいこと86 心の疲れをとる事典』(朝日新聞出版社)から、お金の不安についてのアドバイスを紹介する。
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多くの場合、お金の不安は親元を離れたときからスタートします。家賃、生活費、結婚資金、出産費用、マイホーム購入代、子どもの学費、老後資金……、先々のお金のことを考えていたらキリがありません。もしかしたら、お金の心配だけで一生が終わってしまうかもしれません。
でも、将来のお金に不安を抱いているのは、みんな一緒です。学生時代の友だちも、会社の同僚も、交差点ですれ違った人も、みんな先々のお金に不安を持っているのです。「貯金は足りるだろうか」「体を壊して働けなくなったらどうしよう」など、確かな未来がない以上、漠然としたお金の不安がすべてなくなることはありません。
「お金」というのは、なくてもあっても、不安を生み出すもの。不安を軽減させるためには、まずは自分の現状を把握することが大事。どのくらい貯めなければならないのか知ることが不安をなくす第一歩です。その上で、節約や副業、資格をとって昇級をめざすなどお金を得る方法をきちんと自分で持っておくことです。
また、健康でいることも大事なポイント。仕事ももちろんですが、すべての資本になるのは健康です。いざというときに動ける体であることが大切です。
■焦って投資を始めるのはおすすめできない
投資ブームは時代の節目に起こることが多く、とりわけ一大ブームとなったのが、1980年代後半。日本はいわゆるバブル景気と呼ばれる好景気の時代でした。株や不動産の価値が高騰し、ブームに乗せられた人々は、次々と投資を始めました。