相手の人となりを洞察し、部下との信頼関係を高めたうえで、より機能的な組織コミュニケーションを実現していくにはどうしたら良いのだろうか。著書累計50万部超の人気ビジネス書作家・浅田すぐる氏は、部下との人間関係構築やコミュニケーションに関する悩みには、自分とは異なるタイプの人間とも共有できる「共通言語」を作ることが重要だと説く。そこで、かつてトヨタで働いてきた浅田氏は、新著『あなたの「言語化」で部下が自ら動き出す 「紙1枚!」マネジメント』(朝日新聞出版)で、トヨタパーソンの「上部方針を一通り確認しつつ、最終的には自分の業務の方針を『紙1枚』に書き出してまとめる」スタイルを紹介。これを受け、独自の組織コミュニケーションの実現法を提案する。同著から一部を抜粋、再編集して紹介する。
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トヨタには「紙1枚」文化があり、私を含め社員は皆、日々作成する資料を「紙1枚」にまとめていました。
とはいえ、明確な作成手順やテンプレートが決まっていたのは研修用の「紙1枚」くらいで、日常的には過去の資料の見様見真似で作成し、上司の赤ペン添削を受けながら試行錯誤していくしかありませんでした。
私の場合は、懇切丁寧に指導してくれる素晴らしい上司や先輩に多数恵まれたので、1年ほどで一通り身につけることができました。
一方、そうした環境で過ごせなかった人に関しては、ハーバード大学教授のロバート・カッツが提唱したビジネスパーソンのスキル修得に関連したマッピング「カッツモデル」で言うところの「テクニカルスキル」が中途半端なまま年次が上がっていってしまうため、非常に苦労しているようなケースもありました。
その後、自分自身も後輩指導をするような機会が出てきたため、「これは何かしら再現性のあるカタチで言語化しておいた方が良いのではないか」と、しだいに考えるようになっていきました。