山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
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 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「この時期気をつけたい食中毒」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【一覧】鶏料理の食中毒例はこちら!

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 日本では、ジメジメした梅雨らしい蒸し暑い日が続いているそうですね。先日、東京に住む友人から「最近、湿度が高い上に、30度を超える日もあって、なかなかクーラーの効いた部屋から出ることができない……」と連絡がありました。

 私が今滞在しているSan Diegoは、6月に入り、次第に気温が上がり始めました。「ようやく夏がきたんだな」と感じるようになりました。とはいえ、最高気温は22度から24度、最低気温は15度前後と、日中はカラッとした暑さですが、朝晩には薄手の羽織が必要な気温です。夏の時期は、雨はほとんど降らず、過ごしやすい気温で晴天がずっと続くのがSan Diegoの特徴のようです。「暑いなあ‥」と文句を言いながらも、日本のような湿度も気温の高い夏が好きだった私にとって、梅雨のないカラッとした過ごしやすい気温のSan Diegoの夏は、少し物足りない気もしています。

 さて、気温が次第に上がってきた昨今、そろそろ「食中毒」に気をつけないといけないと感じた出来事がありました。6月中旬のある日の夕食にカレーを作ったときのことです。うっかりカレーを作りすぎてしまったので、「残りは翌日に食べよう」と思い、室温で冷ました後、鍋ごと冷蔵庫に入れておくことにしました。翌朝、カレーを温めようと冷蔵庫から取り出し、鍋の蓋をあけたところ、においに違和感を覚えたのです。「これを食べて食中毒になっては良くない……」と判断し、もったいないと分かりながらも、廃棄することにしました。

 日本でも、梅雨時期や夏期は気温や湿度が高くなり、食中毒の発生が増える時期として知られています。厚生労働省の「食中毒統計資料」によると、昨年の1年間に全国で発生した食中毒は、6月が128件と最も多かったことが報告されています。まさに、今の時期が最も食中毒が多い時期であり、注意が必要であると言えるでしょう。

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実は、日本では年間を通して食中毒が