放送作家の鈴木おさむさん
放送作家の鈴木おさむさん

 放送作家・鈴木おさむさんが、今を生きる同世代の方々におくる連載『1970年代生まれの団ジュニたちへ』。今回は、ドラマ「金八先生」の裏話について。

【写真】卒業生に“贈る言葉”を黒板に書く武田鉄矢さんはこちら

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 文化放送で毎朝8時から放送している「おとなりさん」というラジオの水曜日パーソナリティーをやらせてもらっています。3時間の生放送。

 その番組で「パーソナリティーが会いたい人に会いますウィーク!」というのがありまして。月曜日パーソナリティーで「アルコアンドピース」の平子祐希君が「男はつらいよ」が好きだからと前田吟さん。火曜日の高橋優君が最近、「北の国から」にハマっているからと、蛍役の中嶋朋子さんに出演してもらえることになったと聞き、僕がオファーさせていただいたのは武田鉄矢さんでした。「3年B組金八先生」「101回目のプロポーズ」、僕の青春は鉄矢さんのドラマで染まっています。

受験生へ贈る漢字を説明しながら黒板に記す、武田鉄矢さん=2018年1月
受験生へ贈る漢字を説明しながら黒板に記す、武田鉄矢さん=2018年1月

 そしてもう一つ。数カ月前に、鉄矢さんがある発言でちょっと炎上したときに、僕がそのラジオで、「鉄矢さんは金八先生じゃないんだから。意見なんて色々あっていいんじゃないか?」的なことを言ったんですが、それを武田鉄矢さんが聞いていて、文化放送のアナウンサーさん経由でお礼を言われたんです。

 で、この業界に入って32年の僕ですが、武田鉄矢さんとはちゃんと仕事をさせていただいたことがなかったのです。でも、今回オファーしたらまさかのすぐにOKをいただけました。

 本番になり、鉄也さんと初対面のトーク。目の前に「金八だーーー」と思いましたが、もう、サービス精神120%のトークを全力でしてくれる。

 おもしろかったのは、金八先生の第2シリーズ。「腐ったミカン」でおなじみの回ですが、警察から出てくる加藤優(直江喜一)に金八先生がビンタして「お前らは俺の生徒だ」という超名シーン。あのシーン、ビンタすることは、生徒たちには言ってなかったそうなんです。

 ビンタした理由は、実はあのドラマのせいで、加藤優が不良たちのアイドルみたいになってしまい、それを聞いた鉄也さんが「良くないな」と。だから先生にビンタされるシーンにしようと、本人たちに言わずに本番でいきなりビンタ。あのシーン、ビンタされる顔がかなりリアルなんですよね。

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鈴木おさむ

鈴木おさむ

鈴木おさむ(すずき・おさむ)/放送作家。1972年生まれ。19歳で放送作家デビュー。映画・ドラマの脚本、エッセイや小説の執筆、ラジオパーソナリティー、舞台の作・演出など多岐にわたり活躍。

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