ハウス オブ ロータスのオリジナルアイテムに欠かすことができないインドのブロックプリント。図案を彫った版木に一色ずつ染料をつけて、スタンプのように手作業で生地に押していく技法(写真提供:ハウス オブ ロータス)
ハウス オブ ロータスのオリジナルアイテムに欠かすことができないインドのブロックプリント。図案を彫った版木に一色ずつ染料をつけて、スタンプのように手作業で生地に押していく技法(写真提供:ハウス オブ ロータス)

――「豊かに生きる」とはどういうことでしょうか。

 私が買い付けに行くのはいわゆる「発展途上国」と呼ばれる国が多いですが、私自身はこの呼び方に強い違和感があります。貧しいかどうかは経済力で測るけれど、それが本当の「豊かさ」なのかと。格差があるのは問題ですが、車を持っていないから貧しいのか、働き蜂のように生きているのが豊かで幸せかというと疑問です。

 人は幸せになるためにこの世に生まれてきたのですから、自分以外の人の幸せを考えられることが「真の豊かさ」だと私は思います。

――2030年はどんな未来になってほしいと思いますか。

「ジェンダーの平等」「平和で公正な社会」「貧困・飢餓をなくす」はとても気になるテーマです。今は偏った情報や極端な考え方が、インターネットで一気に広まる時代。陰謀論などが拡散される一方、本来は民主主義の国が強権的になったり、ポピュリズムの考え方に偏ったりしていますね。自分自身のアンテナを張って、各自がクリティカルシンキング(批判的思考)をしないと間違った方向に流されてしまいます。

 母は私が世間話をすると嫌な顔をするような人で、家族で世界のニュースの話をするのが日常でした。「多角的にものを見る力」は、その習慣や話し合いの中で育まれたもの。母には本当に感謝しています。

 今は家にいても世界の問題に意識を向けて、情報収集することができますよね。 未来を担う子どもたちには「日本や自分だけよければいい」というガラパゴス化した感覚は捨ててほしい。もっと視野を広げて、地球環境のことや他国の問題を身近なこととして考えられるように、広い視点を持ってもらいたいと思います。

(構成/生活・文化編集部 上原千穂)