特典も多かった。

 100万円以上の投資があれば、年6回までは振り込み手数料が無料となり、友人を紹介すれば、1口分プラスアルファしてくれるキャンペーンを打ち出した。「営農式」という手法を取り入れており、農作物を育てている農地の空きスペースや上空で太陽光発電システムを稼働させ、農作物が売れた収入も投資家に還元された。

 さらに、日本航空や全日空と提携し、投資額に応じてマイレージがもらえる仕組みも導入した。

 Aさんがこう振り返る。

「例えば、キャンペーンなら30万円投資すればマイレージが30%プラスされるとかあって、スマホが当たり前の年代にとっては非常に魅力的なサービスを打つのがうまかった」

 風向きが変わったのが、昨年6月に預託法が改正されたことだ。

 販売預託商法をめぐっては、1980年代に豊田商事が金塊、90年代後半から2010年にかけて安愚楽牧場が子牛、最近であればジャパンライフが健康器具など、いずれも投資家の手元に現物や商品はなく、事業者に預けたままで、その利益の還元を受けるといういわゆるオーナー商法による詐欺事件が繰り返されてきた。

警視庁などが押収したジャパンライフの家庭用磁気商品=2020年9月
警視庁などが押収したジャパンライフの家庭用磁気商品=2020年9月

 オーナーが支払った商品の購入代金の一部が、別のオーナーの「配当」に充てられているのが実態で、新たなオーナーを獲得できなければ事業が行き詰まるため、次々と顧客が勧誘され、被害が拡大しやすかった。

 ジャパンライフ事件では、投資額に対し、存在する商品は10%程度しかなく、会長は詐欺罪で起訴され、実刑判決が言い渡されている。

 こうしたオーナー商法が法改正によって原則、禁止されることになり、罰則も強化された。

 チェンジ社も、太陽光発電システムの権利の小口化ということで当然、投資家の手元には商品がなく、違法になる。しかし、改正された預託法に抵触することがAさんに通知されたのは、今年1月だった。

「チェンジ社からは、契約内容や規約を改正して買い戻すという通知が送信されてきました。太陽光発電システムは投資家側のものなのに、なぜ一方的にチェンジ社が買い戻せるのか不信感を抱きました。少なくとも預託法改正前の昨年6月までに投資した分は違法ではないので、太陽光発電システムの何%かは私に所有権があったはず。また払い戻し申請をすればこれまで翌日には送金されたけど、1カ月遅れになるという。これはおかしいと思った」

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