新型コロナウイルスの感染症法上の分類が、5月8日に5類に引き下げられてから1カ月半が過ぎた。最近、流行している系統は何か、どんな点に注意して暮らせばいいのか。AERA 2023年7月3日号から。
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国内では、従来の変異株よりも感染拡大しやすく、免疫を回避しやすいオミクロン株が21年末に登場して以来、流行の規模が大きくなっている。オミクロン株登場直後はBA.1やBA.5といった特定の系統が流行の主体になっていたが、最近は複数の系統が同時並行的に流行している。
東京都健康安全研究センターによると、5月22~28日に分析したウイルスのうちオミクロン株の亜系統、XBB.1.16が31.3%(前週は37.0%)、XBB.1.9.1が20.8%(同18.5%)、XBB.1.5が15.6%(同21.7%)、XBB.1.9.2が9.4%(同3.3%)、その他のXBB系統が14.6%(同9.8%)だった。
日本に入国する人のうち発熱などの症状がある人で、同意を得られた人の病原体を調べる入国時感染症ゲノムサーベイランスでは、5月8~14日に26人が新型コロナウイルス陽性と判定された。欧州や中国、韓国から入国した人からは、国内で見つかっているXBB系統がさらに変異した亜系統のFU.1やFL.4、EG.1といったウイルスが見つかった。これらの亜系統が今後、国内でも増えるかもしれない。
■ワクチンの対応株は
いずれの亜系統もこれまでのところ、より重症化しやすいという傾向はみられていない。
そんな中、厚労省のワクチンに関する専門家分科会は6月16日、9月以降に始まる新型コロナウイルスのワクチン接種では、XBB.1系統のみに対応したワクチンを使う方針を決めた。接種対象は、当初、原則として5歳以上のすべての人とする予定だったが、さらに検討し、秋までに最終決定するとした。
XBB.1系統のみに対応したワクチンを使うのは、従来のウイルスに対するワクチンをすでに接種済みという前提に立ってのことだが、小児ではまだその接種が進んでいない。内閣府によると、6月20日現在、11歳以下で初回シリーズのワクチン接種を終えた子どもは2割に満たない。12~19歳では71%が初回シリーズを終えたが、3回目の追加接種は45.4%にとどまる。