林氏自身、山口2区の補選の応援には足を運んだが、4区の吉田氏の応援には入らなかった。

 安倍家の後継たる吉田氏と林氏による「新3区」の候補者争いはすでに始まっていて、後援会幹部が「先がない」と嘆いたのは、この戦いが厳しいということだ。

 補選を戦いながら、次の「新3区」の公認争いをも視野に入れる戦いを強いられた吉田氏。当選直後の4月27日、安倍派の会合に出席して派閥入りを表明した。

 安倍派の国会議員は、

「新山口3区が林外相で決まりなんてことはない。安倍元首相の地盤を守るためには、派閥をあげて吉田氏を推す」

 と言うが、岸田派の国会議員は、

「吉田氏は安倍元首相の半分しかとれなかった。それに得票のうち1万票くらいは連立与党の公明党の組織票。その実力では、新山口3区は無理でしょう」

 と冷ややかだ。

 安倍元首相の後援会が、今回の補選をもって解散する方針が伝えられていることも、吉田氏には逆風だろう。

 自民党の閣僚経験者はこう話す。

「吉田氏が8万票、10万票取っていれば状況も変わっただろうが、5万票では……。新山口3区は結果を尊重すべきという話が党内では聞かれるね。吉田氏が安倍元首相の地元で後継者という気持ちはわかるが、解散・総選挙はいつあってもおかしくない。好き放題に言い出すと、いつまでも決まらない」

(AERA dot.編集部 今西憲之)

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