5月17日にリリースされたアルバム「&」は、3年ぶり、自身にとって4枚目のオリジナルアルバムだ。音楽との向き合い方について語った。AERA 2023年5月29日号から。
* * *
4枚目のアルバム「&」は、コロナ禍、そして体調不良による活動休止期間を経て生まれた。
幼い頃から、一人の音楽好きとして、ロックを中心に音楽のある生活を送ってきた。気合を入れたい時、落ち込んでいる時。その時々の心情に合わせ音楽を聴いてきたが、歌手としてデビューしてからは、どこか「仕事」と関連づけながら音楽と接するようになっていた。
「お休みをしている間は、何も考えずにただ曲を流すなど、仕事を始める以前のように音楽を聴くことができました。シンプルに『いい曲だな』と心で感じるなど、仕事とはまったく別の楽しみ方ができていたのは良かったなと思います」
■楽曲をボイスメモに
アルバム収録曲である新曲「Bring it on」「劣等感」では、いずれも作詞・作曲を手掛けた。日々、タイトルや歌詞につながりそうな単語はスマホのメモに書きためている。友人たちから面白いエピソードを聞けばそれらを書き出し、ストーリー仕立てにし、歌詞にしていくこともあるという。
「周囲と交わした会話も、友人たちの経験も、すべてが曲づくりにつながっていく。日課であり、習慣のようなものです」
一方のメロディーは、移動中の電車内など、何げない時に浮かんできたものを駅のホームでスマホのボイスメモに吹き込んだりしている。
「後から聞き返すと、電車の音にかき消されていたりもしていますが(笑)、瞬間的に閃(ひらめ)いたものは残すようにしています。歌詞は時間をかけて書くことも多いですが、楽曲は閃きがポイントになる。思い浮かんだものを残すことを大切にしています」
2曲の新曲は、いい意味で悩みすぎず、「パズルで遊ぶような感覚で、あまり迷うことなく生まれた」という。