春風亭一之輔・落語家
春風亭一之輔・落語家
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 落語家・春風亭一之輔さんが週刊朝日で連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今週のお題は「腸活」。

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 週刊朝日の休刊が刻一刻と迫っている。

 この連載も残すところ2回。最終ターンくらいは「終活」として綺麗な締めくくりに入りそうなものだが、今回のお題は『腸活』。いたっていつも通りの呑気さで、けっこうなことです。

 とりあえず「善玉菌」「悪玉菌」「腸内フローラ」なんて単語は耳にしたことはあったが、いったい何がなにやら……ということで調べてみました。

 腸内にはメチャクチャな種類と数の細菌がいて、よい細菌の「善玉菌」、悪い細菌の「悪玉菌」、そのあいだの「日和見菌」と、3種類あるらしい。「日和見」って、凄いな。要するに、よい菌、悪い菌、普通の菌。腸内の『欽(菌)ドン!』ですね。

 よい菌を増やして悪い菌を減らせばいいわけじゃないそうです。腸内環境的にベストの割合というものがあって、よい菌こと山口良一が20%、悪い菌こと西山浩司が10%、普通の菌こと長江健次が70%くらいなんだそうだ。

 ヨシオばかりじゃ堅苦しい。フツオだけでも物足りない。ワルオもいて、時々リーゼントがビヨーンと伸びてひと笑い。このチームプレーを差配して、お茶の間という腸内環境を手のひらの上で操るのが「視聴率100%男」「大将」の異名を取るあの男。要するに……『腸活』=『欽(菌)ちゃん』なんですな。

 何言ってるかわからない?

 お気持ちはよくわかります。いまいち理解出来ないお題の時、すぐに昭和の話にすり替える私の悪い癖が出てますが、かまわず続けます。あと2回だし。

 その「菌ちゃんファミリー」が腸内に並んでいる様子がお花畑のように見えて、それをフローラと呼ぶらしいのです。

 フローラとは植物相の意。なんでフローラなのかというと、そもそもフローラとはローマ神話の『花と春と豊穣を司る女神』の名前だそうな。まさかフローラさんも自分の名前が人間のハラワタのビラビラに群生している細菌どもに用いられているとは思わないでしょうな。

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