「万引き家族」でカンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールに輝いた是枝裕和監督の最新作「怪物」が、6月2日から公開される。是枝監督と、「映画を見て号泣した」と話す主演の安藤サクラさんが語り合った。
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──是枝監督にとって、本作はデビュー作以来、脚本を他者に委ねた意欲作。その脚本家・坂元裕二さんとは以前から「いつか一緒に映画を作りたいね」と話していたと言う。
是枝:今回、プロデューサーの川村元気さんから、「坂元さんと映画の企画をしているんですが、坂元さんから監督の名前が出たんですがどうですか」とすごく嬉しい連絡をいただきました。それで「ぜひ(プロットを)読ませてください」とお願いしたんです。
──脚本はコロナ禍前から是枝監督や製作陣が定期的に集まり、坂元さんとやりとりしながら修正を重ねていった。物語の主人公は、シングルマザーの早織(安藤サクラ)と小学5年生になる息子・湊(黒川想矢)、湊の同級生・依里(柊木陽太)、2人の担任の保利先生(永山瑛太)。彼らを軸に、物語はサスペンス映画さながらに展開する。安藤さんにとって、「万引き家族」に続く2度目の是枝作品だ。
安藤:今回、是枝組に入った時の自分のあり方というものが、自分自身でびっくりするくらい違いました。監督は本当にみんなが信頼し合って、それぞれを尊重し合える現場作りをされます。「万引き家族」の時は「これが是枝組か!」という感じで楽しかったんですが、いろいろ考えすぎて自分が現場にどういればいいのかよくわからなかった(笑)。でも、今回はすごくのびのびさせていただきました。
是枝:ありがとうございます(笑)。
安藤:信頼するという力が自分の表現にこんなにも影響があるんだとすごく感じたんです。監督を信頼することはもちろん、是枝組というチーム全体で信頼し合える。その空間、その時間すべてを信頼できるとこれほど影響があるのかと思いました。