西武ライオンズの元エースで監督経験もある東尾修さんは、WBC日本代表のチームづくりを高く評価する。
* * *
第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の1次ラウンドの平均視聴率がどの試合も40%を超えているという。これまでの野球中継のトップは、1994年10月8日の中日‐巨人戦の48.8%。同率首位で並んだ両軍の最終戦決戦で、当時の巨人・長嶋茂雄監督が「国民的行事」と呼んだ一戦だという。その数字に近づいているとは、野球に身を置くものとしてうれしいというほかない。
大谷翔平という絶対的スターに、メジャーでも屈指の実力を誇るダルビッシュ有がいる。そこに山本由伸、佐々木朗希という日本の将来を担う投手も続く。さらに大きな存在といえば、カージナルスから加わったラーズ・ヌートバーだろう。過去の大会ではなかなか参戦がかなわなかったメジャー選手の参加に加え、新たな日本代表の形を示したチーム構成。普段、野球を観戦していない方々にも興味を持ってもらえていると感じている。
コラムの執筆時点では、1次ラウンドを4連勝で突破した段階。結果に対する評価はできない。ダルビッシュも会見で「結果はコントロールできない。コントロールできないならその過程や準備をしっかりするだけ」だと言ったが、そのとおり。このチームはその準備や過程を大切にしてきたからこそ、これだけのメンバーが集まり、今、ワンチームとなれている。
まず、あらゆる可能性を信じて選手招集に尽力した栗山英樹監督、そしてスタッフの方々の働きがある。ダルビッシュが宮崎合宿から参加してくれたこと一つとっても、パドレスの協力なくしてあり得ないことだった。いくら個人の意思があっても、所属球団の了解を得られなければ、参加はできない。それを可能にするまでにどれだけの時間、労力を費やしたか。栗山監督や日本代表スタッフに感謝したい。