50歳近くになると、「ガン」という言葉が身近になった。
もちろん、それまでも「ガン」が身近でなかったわけじゃない。
わたしの祖母もガンで他界した。ただ、80歳という年齢、「まっ、しかたないか」という空気はどこかにあった。
けれども、50歳前後の友人・知人がガンになると、いきなり身近なものになってくる。
わたしだって、いつそんな状況になるかわからない。
思わず、健康食品を食べたり、「ガンにならない」というコピーの本を読んだり、「朝に果物を食べるといい」という文章を読んだら、いきなり、フルーツを朝、食卓に並べたりするようになった。
何よりもつらいのが、「ガンを宣告されたんだ」と、聞かされる時。今でも、どう答えていいかわからない。
そんな時にこのふたりの話をする。
ある女性作家。彼女は、ガンになって、一度治療をしたけれど再発した。
子どももいるし、悲しくて、悲しくてしかたなかった。
泣くだけ泣いて、彼女は覚悟を決めた。
「ガンと付き合って行こう」
「思い残すことのない生き方をしょう」
すると、ある日、ガンが消えていた。
「奇跡としか考えられないの」
今も彼女は、講師として日本中に日本人の素晴らしさを伝えている。
そして、もうひとりは、超人気講師の男性。彼とわたしは、一緒に仕事をする予定が入っていた。