「たぶんアイドルの世界に限らないと思うのですが、これをおさめてくれる人がいてくれたらいいのになぁ、絶対的な決定権を持つ、上に立つ人がいてくれればいいのになと感じることもありました(笑)」
活動途中で自らリーダーに就任した。
「やっぱり誰か表に立つ存在がいたほうがよさそうだと思ったからです。新しいメンバーが入ったときに、いろいろどうしていいのかわからなくなることもあるでしょうし、そのほうがより強くひとつになれると思ったからです」
リーダーとしての苦労も背負った。
「いろいろなことを、私が決めて動かしているんだろうと思われたこともありましたし、ネットやSNSでけっこうたたかれたりもしました(笑)。だけど、お互いに支えあえるメンバーがいたので乗り越えられたこともたくさんあって、“最強で最狂”と名乗っていたことも誇りです。ソロを始めたことで、がんばろうと言い合えたメンバーがいてくれた、その存在の大きさを感じています」
ソロ活動をスタートさせた理由とタイミングについて、「ソロでも『いつか』という思いはずっとあった」と語る。
「憧れはありましたが、私一人ではなくて、グループの一員としてのほうが、いい味が出せるタイプだと自分では思っていたので(笑)、だから『いつか』」
あるとき、新たにアイドルグループに加入し活動を続けるうち「もしかしたらその『いつか』は待っているだけでは訪れないかもしれない」と感じることがあった。
「アイドル活動を始めてからちょうど10年になります。その10年の中で出会ったファンの方や関係者の方が、しばらくお会いしていないうちに亡くなっていたと知ったこともありました。そうした出会いや別れを実感したことで、もしかしたら今日会えている人にも、明日は会えないかもしれない。そう感じたとき、後悔を残さないために、私からみんなに会いに行こう! 見つけに行こう!それは私が生まれてから1万日を超えて、10周年が近づくタイミングだ、『よし、今しかない!』と思い立ちました」
なぜそこまでしなければならないのか、という問いへの答えがそこにあった。“世界一熱いアイドル”の異名は伊達じゃない。
ゆらぴこさんの全国ツアーは5月以降も順調に予定が組まれているが、並行してツアー以外のライブやトークイベントの出演など忙しい日々を送る。
「メンバーもいませんから余計に客観視できなくなってしまっているかもしれず、無茶なツアー日程を組んじゃったり、自分を追い込みすぎてるかなと思うこともあります(笑)」
全力でがんばり続けても、それでも貯金が底をつき、途中でツアーを断念する危機に直面するかもしれない。
「そのときは、路上でやります!」
強い目力で言った。
「あきらめたと思われたくないですし、私自身許せない。もしそうなってしまったら、ヒッチハイクで向かい、路上でライブをします。私はやるって決めたらやめない頑固な女なので(笑)。私の今があるのは、ぴこぴこ族のみなさんと一緒にいろんなものを作ってこられたから。全国のぴこぴこ族に会いに行きます!」
これが、世界一の熱さだ。
(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2023年5月5-12日号の記事に加筆