日差しが強まり、気温が上昇する季節。総務省症消防庁のデータによると、過去の5月の熱中症による救急搬送者数は昨年は2668人にのぼり、4年前の2019年は4400人を超えました。熱中症に決して油断できない5月、始めるべき「暑熱順化」とは?

5月の熱中症搬送者数 4000人超も

日差しの強さを実感する季節、晴れた日は朝からぐんと気温が上昇しやすくなってきました。
総務省症消防庁のデータによると、過去の5月の熱中症による救急搬送者数は、2022年は2668人にのぼり、一昨年の2021年は1626人となったほか、4年前の2019年は4448人でした。
また、そのうち昨年2022年は4名、2019年は8名の方が熱中症によって、命を落としています。
※2020年は調査データなし

本格的に暑くなる前の5月は、真夏とは違って空気がカラッとしているため、つい暑さに油断してしまう方も多いと思います。5月はまだ体が暑さに慣れていない方がほとんどです。気温の上昇が予想される日には、熱中症に注意が必要です。

総務省消防庁  過去の全国における熱中症傷病者救急搬送に関わる報道発表一覧
総務省消防庁  過去の全国における熱中症傷病者救急搬送に関わる報道発表一覧

暑熱順化による体の変化

暑熱順化とは、体が暑さに慣れることです。

暑い日が続くと、体は次第に暑さに慣れて(暑熱順化)、暑さに強くなります。
暑熱順化ができていないと、体の熱をうまく外に逃がすことができず、「熱中症にかかるリスク」が高まります。

人は運動や仕事などで体を動かすと、体内で熱が作られて体温が上がります。体温が上がった際には、汗をかくこと(発汗)による気化熱や心拍数の上昇、また、皮膚血管拡張によって体の表面から空気中に熱を逃がす熱放散で、体温を調節しています。この体温の調節がうまくできなくなると、体の中に熱がたまって体温が上昇し、熱中症が引き起こされます。

暑熱順化ができると、発汗量や皮膚血流量が増加するため、発汗による気化熱や体の表面から熱を逃がす熱放散がしやすくなります。
体の外に熱を逃がしやすくなること、体温が上昇しにくくなることなどにより、熱中症にかかりにくい状態になります。

暑熱順化をするために日常生活でできること

暑熱順化には、「実際に気温が上がり、熱中症の危険が高まる前」に、「無理のない範囲で汗をかく」ことで、体を暑さに慣れさせることが重要です。個人差もありますが、暑熱順化には数日から2週間程度かかります。本格的に暑くなる前から余裕をもって暑熱順化のための動きや活動を始めましょう。
暑熱順化のための動きや活動には、次のようなものがあります。

・ウォーキングやジョギング
帰宅時にひと駅分歩く、外出時にできるだけ階段を使用するなど、少し汗をかくような動きをしましょう。目安としては、ウォーキングの場合の時間は1回30分、ジョギングの場合の時間は1回15分、頻度は週5日程度です。

・サイクリング
通勤や買い物など、日常の中で取り入れやすいのがサイクリングです。目安としては、時間は1回30分、頻度は週3回程度です。

・筋トレやストレッチ
室内では、筋トレやストレッチなどで軽く汗をかくことができます。ただ、室内の温度や湿度には十分注意して、暑くなりすぎたり、水分や塩分が不足したりしないようにしましょう。目安としては、時間は1回30分、頻度は週5回~毎日程度です。

・入浴
シャワーのみで済ませず、湯舟にお湯をはって入浴しましょう。入浴の前後には十分な水分と適度な塩分を補給し、入浴して適度に汗をかくとよさそうです。目安としては、入浴の頻度は2日に1回程度です。

暑熱順化ができても、数日暑さから遠ざかると効果はなくなってしまいます。自分が暑熱順化できているかを意識し、まだ暑熱順化できていないときには、こまめな水分補給や涼しい場所での休憩などで熱中症を予防しましょう。

暑熱順化前線が北上 早めに開始を

暑熱順化前線は、暑熱順化が必要なタイミングの目安をお知らせするものです。

すでに九州や中国、四国は暑熱順化が必要なタイミングを過ぎているため、まだ体が暑さ慣れていない方は、無理なく早めに始めると良いでしょう。
近畿や東海、関東は5月中旬がタイミングとなります。運動時は、屋外や室内の天気や気温などの環境の変化に注意し、水分や塩分を適宜補給しながら、熱中症に十分注意して、行ってください。

また、北陸や東北、北海道も5月下旬となっていますので、そろそろ暑さに体を慣らし始めた方が良いでしょう。
日常生活の中では、身近な方法で無理なく汗をかくことができますので、自分の生活に合う形で、無理をせず、生活の中に取り入れてみてください。