1月25日、AKB48の姉妹グループとして、あらたにNGT48が結成されることが発表されました。名古屋のSKE48、大阪のNMB48、福岡のHKT48に続き、NGT48は新潟を拠点とするグループとなり、10月にはNGT48劇場もオープンする模様です。
2015年もますます拡大し続けるAKBグループですが、そもそもなぜAKBはここまで国民的なアイドルグループとなり得たのでしょうか。ひとつにはCDを複数枚買ってもらうことを前提とした「AKB商法」があります。これにより、年間シングルチャートはAKBグループのほぼ独壇場となりました。2012年は1位から5位までがAKB48。6・7位に嵐がランクインしたものの8・9・10位にSKE48、11位に再び嵐を挟んで、12・13・14位とNMB48。2014年も1位から5位までAKB48。6・7位に嵐、8位にEXILE TRIBE。9・10・11位に乃木坂46、12位の嵐を挟んで、13位から16位までSKE48とNMB48が占めるという状況となっています。
AKB商法については、少なからず批判はありました。しかし今やこの商法は、テイラー・スウィフトをはじめ、海外の音楽業界においても取り入れられるビジネスモデルともなってきていると、『僕たちとアイドルの時代』の著者・さやわかさんは指摘します。
本書は、13年6月に出版された『AKB商法とは何だったのか』に、新しく15年までの状況を踏まえた加筆修正がなされ、この度新書として刊行。AKB48、AKB商法から生じた問いを分析しながら、音楽チャートから見えてくる、広く現在の音楽とCD販売との関係にまで考察が及んでいきます。
まず、さやわかさんは、AKB48は日本のポピュラー音楽史のなかで特異な存在として生まれたのではなく、それまでのアイドル――南沙織、山口百恵、おニャン子クラブ、東京パフォーマンスドール、モーニング娘。等の流れをすべて理解した上で作られたグループなのであり、「AKB自体が現在のアイドル全体の状況の縮図になっている」(同書より)のだといいます。
過去のアイドルの集大成ともいえるAKB48。そして非難の的となる「AKB商法」もまた、時代に即したもの、「売り上げの落ち込んだ音楽業界の見いだした活路」だったのではないかと指摘します。現にその結果、世界的にCDが売れなくなっているなかで、日本はAKB商法のおかげで「諸外国に比べると異例なほどCDが売れている」のだそうです。
ヒットチャートを分析することで見えてくるものとは一体何なのでしょうか。AKB48を通して、またAKB商法を通して、音楽とCDとの関係、そしてこれから私たちが考えていくべきポピュラーミュージックのあり方に関わる問いを投げかけてくれる一冊となっています。