UFCのフライ級タイトル戦を戦った経験もある堀口恭司(中央)
UFCのフライ級タイトル戦を戦った経験もある堀口恭司(中央)
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 日本の総合格闘技界は長らく堀口恭司が数少ない“世界的なレベル”の選手としてけん引してきたが、同じフライ級には世界を狙える勢いのある若手が続々出てきた。今回は世代交代も漂わせるフライ級の若手たちの現状について触れたい。

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 デビューから無敗の4連勝を狙った平良達郎のUFC第4戦は、対戦相手クレイドソン・ホドリゲスの体重超過(※3ポンド=約1.36kg)により中止となった。

 平良は国際戦を含む日本での10連勝の後、昨年UFCと契約。初戦を判定勝ちの後、第2・第3戦で一本勝ちを収めてパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトの5万ドルボーナスを獲得したが、試合は波乱続きだった。

 初戦のカルロス・カンデラリオ戦はカンデラリオが計量後に体調不良を起こし試合が2週間後に延期(22年4月30日→5月14日)、第2戦のC.J.ベルガラ(22年10月)も3ポンドのオーバーがあり(※試合は2R腕十字で一本勝ち)、第4戦でも再び不運に見舞われた。

 ホドリゲスは前戦となる今年2月の試合でも体重超過を犯しており、平良陣営が試合に応じることはなかった。

「自分自身すごい成長を感じているので、年に4回・5回、たくさん試合をしたい。試合の緊張感を乗り越えてどんどん強くなりたい」(22年10月)、「年内に3戦3勝し、来年にはタイトル戦を目指したい」(23年2月)と青写真を描いていた平良だが、その思いがくじかれる形となった。

 しかしUFCは中止から2週間後の7月8日、ラスベガスで行われる「UFC 290」で試合を用意。メキシコのエドガー・チャイレスと対戦することが決まった。

 チャイレスは平良と同じく身長170cmで183cmと恵まれたリーチを持つ(平良のリーチは177.8cm)。ここまで14戦10勝(4KO・6一本勝ち)4敗の戦績で、アメリカの団体「Combate Global」でフライ級王者に就いている。平良とチャイレスはともに1月27日が誕生日。1996年生まれで27歳のチャイレスに対し、平良は2000年生まれで4歳差だ。「Pitbull」を愛称とし、首相撲からのヒジ・ヒザ連打によるKO、あるいは腕十字やチョークでの一本と極め勘も持つ荒々しいファイターだ。「ドラゴンボール」の道着を思わせる衣装を着用したり、勝利後に「かめはめ波」のアクションを見せることもある。

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平良以外のフライ級の“逸材”たちも順調に成長