佐藤陽太郎(左)と姉の友花
佐藤陽太郎(左)と姉の友花

 18歳の佐藤陽太郎は、アーティスティックスイミング(以下AS)男子日本代表として、7月に行われる世界水泳選手権福岡大会に出場する。

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 佐藤は、史上初めて日本選手権に出場したAS(当時はシンクロナイズドスイミング)の男子選手でもある。2017年4月29日、国内で最高峰の大会である日本選手権のフリーコンビネーションに、佐藤はジョイフルアスレティッククラブ(茨城県)の一員として出場している。当時は中学1年生だった12歳の佐藤は、身長156センチで丸刈り頭のあどけない少年だった。

 当時の佐藤は、次のように語っている。

「シンクロは女子だけのスポーツではなくて、僕のように男子で頑張っている人もいる。『男子だから恥ずかしい』とかではなくて、どんどんシンクロを体験してみて、友達になってしゃべってほしいので、シンクロをやってみてください」(YouTube いばキラTVより)

 佐藤の競技人生は、女子だけのスポーツだったASが少しずつ男子にも門戸を開いていった時期と重なっている。国際水泳連盟 (FINA)は、2015年世界選手権からミックスデュエット(男女混合ペア)を正式種目として採用。佐藤は2019年に岡野日和とのペアで世界ユース選手権のミックスデュエットに出場、銅メダルを獲得している。

 そして昨夏、17歳になった佐藤は、姉の友花と組んで2022年世界選手権ブダペスト大会のミックスデュエットに出場した。ジュニアの試合では年齢別に分けられていたため、佐藤は3歳年上の友花とペアになることは難しかった。しかしシニアに上がって組むことが可能になり、友花がコーチに直談判した結果“姉弟デュエット”が実現したのだ。

 友花は2021年に行われた東京五輪では補欠として代表に帯同している実力の持ち主で、佐藤が5歳の時にASを始めたのは姉のコーチの勧誘がきっかけだった。足の形が似ているという姉弟ならではの強みも生かし、2人はテクニカルルーティン(以下TR)・フリールーティン(以下FR)で銀メダルを獲得している。

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着々と歩む日本男子初の五輪への道