W杯での悔しさをバネに上田綺世は所属クラブで大活躍
W杯での悔しさをバネに上田綺世は所属クラブで大活躍
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 欧州各国のリーグ戦が終了し、早くも各チームが新たなシーズンに向け目まぐるしく動いている。当然、多くの選手が欧州でプレーしている日本人プレイヤーの去就も気になるところだが、今回は特にオフの動きが注目される3選手ピックアップし、現在の状況を紹介する。

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【南野拓実】

 リヴァプールでの公式戦24試合で10ゴールを奪い、カップ戦ダブルの立役者となった昨シーズンを経て、ユルゲン・クロップやファンが残留を求めながらも、主役を演じるためにリーグ・アン初挑戦を選択した南野。しかし、モナコという特殊な環境下では試練の連続だった。

 まずは8月頭のチャンピオンズリーグ3次予選、両試合で先発しながらもPSV相手に敗退すると、リーグ・アンでも出場した最初の3試合で1度も勝てず(1分け2敗)。この不振によってフィリップ・クレマン監督はシステムを変更し、南野が最も輝けるポジションがなくなったことでベンチへ座ることに。その後、モナコは勢いを取り戻すなど、日本代表FW抜きでチームが一歩前進してしまった。クラブの性質上、若手選手が優先される環境なだけに、一度出番を失った28歳が再び主役になるのは非常に難しい。

 またアタッカーには一対一での解決能力が最も求められるリーグ・アンにおいて、南野が最も得意とするチームを繋ぐリンクプレーはあまり評価されず。ましてやチーム状況が良くない中では、良くも悪くも周りに依存するタイプの彼が力を発揮するのはあまりに難しい。さらに、強烈な思いで臨んだ昨年末のワールドカップでもクラブでの不振から出場時間は限定的に。そしてラウンド16のクロアチア代表とのPK戦、周りが名乗り出ない中で自ら志願してトップを務めたが、無常にもGKにストップされた。あまりにも過酷な運命に襲われ続け、結局その流れを変えられないままシーズンを終えている。

 難しい1年を終えたことで、当然のようにマーケットでの身の振り方に注目が集まっている。だが地元メディアによると、本人は来季もモナコで戦う意欲に溢れており、ポジション奪取に燃えているようだ。「このままでは終われない」との思いが強いのだろう。彼にとって朗報があるとすれば、クレメント監督に続きスポーツディレクターを務めていたポール・ミッチェル氏も退任したことで、チームがゼロから出発するということ。だが、彼の年齢からすれば移籍市場で残されたチャンスは少なく、契約はあと3年残っている。またモナコという環境下では、結果を出さなければ基本的には若手が優先されていくだろう。残留するにせよ、移籍を選択するにせよ、今夏の決断はリヴァプール移籍以上に重要な選択になるかもしれない。

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人気が集まりそうな日本人選手は?