そういう時代の中では、頭が固くて融通の利かない「頑固親父」然とした当時の上岡さんのようなキャラクターのタレントは、活躍の場が与えられることはなかなかないだろう。
実のところ、上岡さんが理想としていたさんまや鶴瓶ですら、若い頃は今よりもっととがっていて、数々の問題行動を起こしていた。さんまはトーク番組で若い女性アイドルを泣かせたりしていたし、鶴瓶もテレビやラジオの本番中に怒り出したりしていた。
でも、彼らはその後に軌道修正をして、何事もなかったかのようにテレビの世界に馴染んでいった。上岡さんもやろうと思えば同じことができたのかもしれないが、本人にその気はなかったのだろう。自らの衰えを感じていたこともあり、潔く身を引いた。
かつてのテレビ界には「大人の鑑賞に堪えるタレント」というのがいた。その1人である上岡さんが亡くなったことで、改めてそういう時代がもう遠い昔になってしまったことに気付かされた。上岡さんのご冥福をお祈りします。(お笑い評論家・ラリー遠田)