毎月11日に「フラワーデモ」が全国で展開
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作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は、性犯罪刑法改正について。

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 性犯罪刑法改正にあと一歩のところまできた。重要法案が目白押しの今国会だが、時間切れで廃案などということがないように祈る気持ちだ。

 性犯罪刑法改正に向けて、性被害当事者団体Springやフラワーデモでは、次のようなハッシュタグを拡散していた。

#10年は短すぎる(時効の問題)

#せめて16歳(同意年齢の問題)

#同意のない性交を性犯罪に                    

#地位を利用した性犯罪に罰則規定を

#今こそ被害者中心主義の刑法改正 

 今回の刑法改正案では「不同意性交罪」に罪名が改められ、時効が15年に延び、同意年齢が16歳に引き上げられた。地位を利用した性犯罪の罰則規定は設けられなかったけれど、不同意性交罪の条文の中に入れることはできた。時効がまだまだ短すぎるなどの課題はあるけれど、それでも「不同意性交罪」という名に変える法案が生まれたことは大きな一歩だ。私は日本では「不同意」という言葉を入れることすら難しいのではないかと悲観的だった。

 なぜなら刑法改正に向けた審議の過程でも、「日本には同意の文化がない」などという理由で、「同意」という言葉そのものを法律に入れることに違和感を表明する声もあったからだ。あうんの呼吸で、酒を飲んだ勢いで、互いに言葉を交わさないでセックスしたら罪になるのか! いちいち文書による同意書を取らないと犯罪になるのか!と極端なことを言う人の声も大きい。性的同意について学ぶ機会のない社会であれば仕方ないことなのかもしれないが、相手が積極的に同意しているか……平たく言えば「相手も私とセックスしたがっている!」という確信がないままセックスできると考えられるなんて、すごく怖くてキモイ話だけれども、「同意(内心の問題)など、確認のしようがない!」と混乱する大人があまりにも多いのが日本の現実だ。

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