自宅投資で儲かったことのある私のクライアントは、「まだロバート・キヨサキのやり方を信じているの?」と、この考え方を冷めた目で見ています。数億円かけて地方の古いアパートやマンション一棟買いをして、人に貸して毎月数十万円を得つつ、自分は都心まで1時間以上かかるようなところに安いアパートを借りて住むなんて、意味がわからないよね、というスタンスです。不動産価格が上昇しても地方や郊外では家賃を簡単に上げられません。元々好立地の土地を相続したのであれば、賃料収入を得ることを目指してもいいでしょうが、普通のサラリーマンにとっては、ハイリスクローリターンという見方となるようです。

 だったら、自分自身が都心の一等地に住むほうが、日々の生活の質も上がっていいじゃないか、ということなのです。

 自宅投資は、独身者や子どものいない夫婦は簡単ですが、子どものいる夫婦の場合は少々難しくなります。子どもを転校させるかどうかという問題が出てくるからです。

 経験を積んだ玄人顔負けの自宅投資家ともなると、子どもの小中学校の学区縛りの中で、自宅投資をやり込んでいます。徒歩10分圏内で、3~5年おきくらいに引っ越しを繰り返し、資産を増やしている人も少なくありません。その場合は値上がりの利益額に応じて3年3000万円の自宅非課税制度か住宅ローン減税のどちらかを活用するか、5年以上住んで長期譲渡所得課税(20.315%)を使うほうがいいか、状況に応じて使い分けるのです。

■自宅投資は場所選びが重要

 ただしこの自宅投資は、日本全国の誰にでも勧められるものではありません。日本は人口減少時代に突入し、田舎に行けば行くほど、不動産価格は右肩下がりとなり、購入時以上の価格で売却することは難しいからです。

 それでも、やり方はあります。ある自宅投資家と話していたときに盛り上がった話なのですが、毎年3月下旬に国土交通省が発表する「公示地価」で、3年以上連続して地価が上がっている場所に、自宅を買うという方法です。なぜ3年か? 株価と同じで連続して値上がりしている場所は普遍的な評価が高まっているので継続的に値上がりする可能性が高いということが理由でした。以前なら会社に出勤が必要なので、会社から離れた場所に住めませんでしたが今は違います。ワーケーションや二拠点暮らしが注目される中、環境がよく、地価が上がっているところに住むということもできるのです。地価が上昇しているとなると、わかりやすいところでは都心3区の中央区・千代田区・港区などが挙げられます。その他にも、外国人に人気のある、沖縄や京都市の中心市街地、リゾート地である北海道のニセコ町や富良野、長野県の白馬村などや、地方都市でもチャンスはあると思います。これらの地域は、多くの外国人が値上がりを期待して投資用不動産を買っているほど人気のエリアです。

 そこで私も、新規事業として、FIREを目指す人向けに沖縄やニセコや白馬など、公示地価が上がっている地域に、低金利の住宅ローンで自宅を購入し、3年以上自分で住めばいいよ、という生活を楽しみながらできる資産形成方法もあることを伝えていきたいと思っています。

●大森健史(おおもり・けんじ)

 1975年生まれ。大阪府出身。大学卒業後、国際証券株式会社に入社し、個人・事業法人・財団法人等の資産運用のコンサルティング業務を担当。留学・旅行業界を経て、ビザ申請や海外生活設計のアドバイザー業務に携わる。2004年6月に家族・親子・退職者・会社経営者・投資家らのロングステイなどのサポート企業として株式会社アエルワールドを設立し、代表取締役に就任。海外移住や長期滞在に関する相談実績は2万人を超える。グローバルに金融資産と居住生活をどうアロケーションするのかなど、投資家・資産家向けの海外生活コンサルティングにも精通し、サポートを行っている。