今をときめく俳優・向井理と、飲食・農業・福祉など多彩な業界で活躍する働き手による対談集。
 有名俳優と同じ地平で話すことは一見難しそうだが、個別のやりとりは実に自然だ。秘密は二つ考えられる。第一に、対談相手がいずれも向井と同世代(70年代後半~80年代前半生まれ)であること。第二に、向井の俳優「以外」のキャリアが活きていることだ。例えば飲食サービス専門職・宮崎辰にはバーテンダーだった経験から接客業の頂点を極めた彼の話が聞きたいと語りかけ、バイオベンチャー企業経営者・出雲充には大学で遺伝子研究に関わった経験から、ミドリムシ大量培養成功への驚きと理解を示す。出雲が少し話しただけで「非常に分かっていただける」と感激を振り返っていることからも、相手と同じ目線に立つことに過去の経験が大いに貢献しているのがわかる。
 巻末の座談会では本書全体に通じるキーワードとして「社会の課題解決」が挙げられる。背景に富んだ対談内容も魅力的だが、「世代論」としても読み応えがある。

週刊朝日 2015年1月30日号