山崎:いましたよ、ただ、よく分からなかった。私は1970年生まれなので、アポロ11号が月面着陸した69年頃の記憶は、もう全然ないんですよね。で、しばらく止まってて、スペースシャトルが飛びだしたのが81年なんですよ。ちょうどその狭間で、子ども時代を過ごしたので、あんまり海外の宇宙飛行士も、よく分かんなかったんですよね。
大宮:じゃあ、やっぱりアニメで。
山崎:アニメなんですよ、私はもう本当に、恥ずかしいことっていうか。
大宮:いえいえ、すごいことです。だって、999でもメーテル好きって女の子はいたけど、それで宇宙とか星が好きになるんですから。
山崎:幼稚園から小学校2年生まで過ごしていた札幌の星がきれいだったんです。「星を見る会」に行って、天体望遠鏡で星を見せてもらったりして。それで宇宙そのものに興味を持ちました。でも正直、兄がいなかったら「ヤマト」を見てなかったですね。裏の「(アルプスの少女)ハイジ」を見たくて兄とチャンネル争いをやってたから(笑)。で、しぶしぶヤマトを一緒に見てたらすごいハマって。
大宮:子どもの頃の夢をかなえる人って、少数だと思うんです。私は山崎さんの5個下なんですけど、あんまり夢がなかった。夢があって、しかもかなえちゃうのがうらやましい。
山崎:小学生時代の夢は、学校の先生になりたいとか、近くにあったお習字の教室の先生になりたいとか、お花屋さんになりたいとか。東京ディズニーランドができた頃だったのでディズニーランドで働きたいとか。コロコロ変わってましたね。でも、学校の先生になりたいというのは、結構ずっと思っていました。
大宮エリー(おおみや・えりー)/1975年、大阪府出身。99年、東京大学薬学部卒業。脚本家、演出家などを経て画家として活躍。クリエイティブのオンライン学校「エリー学園」「こどもエリー学園」を主宰。瀬戸内国際芸術祭(岡山県・犬島)で「光と内省のフラワーベンチ」を展示
山崎直子(やまざき・なおこ)/1970年、千葉県出身。93年、東京大学工学部航空学科卒業。96年、同大学院工学系研究科航空宇宙工学専攻修士課程修了。宇宙開発事業団(現・JAXA)に入社。99年、宇宙飛行士候補者に選抜され、2010年、スペースシャトル・ディスカバリー号に搭乗
※AERA 2023年5月15日号