「年齢を重ねることへの感慨は特にないですけど、どうせなら、見たことがないような年の取り方をしてみたいです(笑)。音楽をやっていると、時間の感覚がよくわからなくなって、ツアーで新しい曲とか懐かしい曲を組み合わせてセットリストを組んだりすると、『あれ? この曲10年前の曲なんだ!』ってビックリしたり。自分の中では、遠い過去も近い過去も未来も、混在してるんですよ。時空が歪むことなんてしょっちゅう(笑)。何年前とかっていう数字は結局、記号に過ぎないのかな、なんて思います」
極める人・西川さんが常に心がけていることは、新しいことに挑戦することと、自分に負荷をかけること。
「キャリアを積みながらも、新しいことに挑戦するタイミングでフレッシュな気分になったり、すごく緊張したり、たまに嫌な気持ちになることっていうのは、それなりに意味があって大切なことかなと思ってます。常にリラックスした状態でいることって、理想かもしれないけど、ある種の緊張感とかプレッシャーって、人間の潜在能力を引き出してくれる大事なファクターである気がするんですよね」
「その緊張感やプレッシャーを、いくつになっても定期的に感じられることがありがたい」とほほ笑む。何をやっても、極める人である。(菊地陽子 構成/長沢明)
※記事の前編はこちら>>「西川貴教が変えた生き方『手当たり次第手を出すのも大事』」
※週刊朝日 2023年5月19日号より抜粋