Creepy Nutsが【COUNTDOWN JAPAN 19/20 supported by Amazon Music】の初日、12月28日(土)のCOSMO STAGEのトリとして出演。2019年、MCのR-指定は「フリースタイルダンジョン」のラスボス就任、DJ松永は【DMC WORLD DJ CHAMPIONSHIPS 2019】で世界一のDJの座を手にするなどヒップホップ・シーンの旗手となった2人は勢いそのままに、ロックフェスという他ジャンルの現場も熱く沸かせた。
サウンドチェックのタイミングで一足早く2人はステージに登場。R-指定が「俺のマイクロフォンと松永のターンテーブルの調子の確認、お客さんの盛り上がりの確認しちゃいたいんですけど、よろしいですか?!」と語ると、キレあるビートに乗せて1~10まで数え歌形式でのラップを披露。コール&レスポンスや松永もターンテーブリスト としてのスキルも見せつけ会場を温めると、「この後、めちゃめちゃ登場って感じの曲と共に出てくるんで、一旦ここで見たことは全部忘れて、初めて俺たちが出てきたというテンションで盛り上がってください」と笑いをしっかりとって一旦去っていった。
定刻を迎えると、スポットライトに照らされるマイクと松永のこだわりでステージ後方ではなくMCの並びに設けられているDJセットが設置された舞台に改めて2人が姿を現す。すると先ほどの約束を果たすような大歓声で迎え入れられ、このステージへ向かう気持ちとシンクロするような「板の上の魔物」をスタート。R-指定は流れるようなフローや高速のラップ、そして力強くワードを刻みつけるなど、魔物に打ち勝つような変幻自在のスキルを挨拶がわりに見せつけた。
そして「今日このステージのトリが俺たちCreepy Nuts。ということは俺たちは主演なのでしょうか。否。今日の主演は集まった皆さま1人1人。それを最高に盛り上げるCreepy Nutsが助演男優賞でございます!」と曲紹介し「助演男優賞」へ。ハイスピードに展開されるビートとラップ、そこに観客もサビを歌ってノッていき、まさにそれぞれが自分の役回りを全うし1つの曲という作品を生み出していった。更に畳み掛けるように「よふかしのうた」に突入。曲の締めくくりには松永もタイトなスクラッチをみせ客席を大いに盛り上げた。
R-指定は「聞いてみたら分かりやすい・とっつきやすい、それだけじゃヒップホップ背負ってここに来れません。他のジャンルの人も聴きやすい・入ってきやすい、でもヒップホップ知ってる人も唸るほど、いや、ぶっちぎりで(ラップとDJの)日本国内最高峰のスキル持ってやってきました。」と挨拶。そして「スクラッチをどこまで極めたら世界一になれるのか、ロックファンの皆さん見たくないですか?がっつり目に焼き付けてください。」と松永に注目を集める。
その声に応え、松永が世界を獲ったスキルを披露。その切れ味の鋭さに感嘆の声にも似た歓声が轟いた。その凄さを改めて感じたのも束の間、「音楽だけで思いっきりぶっ飛べる人どれだけいますか?!」とR-指定が呼びかけると「合法的トビ方ノススメ」が鳴り響く。曲中に「1番トンでしまって、1番気持ちいいのが音楽だってこと証明したくないですか!」と高らかに叫び、既に彼らのパフォーマンスでヒートアップしていた観客達のギアをあげ、手を挙げジャンプをして さらなる盛り上がりを場内にもたらした 。
続く「阿婆擦れ」ではこれまでの駆け抜けるような勢いから一転、ジャジーでムーディーなサウンドに乗せストーリーテリングを情緒的に行うような曲もやってのけ、表現の幅広さも示した。
最後のMCではR-指定が、「ロックフェスという場所においては、ラスボスだろうと世界一だろうと全くのチャレンジャー。チャレンジャーとしてどんなバンドよりも、俺たちの韻と指さばきしか記憶に残らないようがっつりと刻み込みます」と宣言。そして「最後、俺たちの中で1番ヒップホップだと思うものをこのステージにおいて帰ろうと思います。サビもない、飛んだり踊ったりもない、コール&レスポンスもない。ただ俺の言葉とシンプルなビートに乗せて、俺がいかにラップが上手いのか他のラッパーより優れてるかというボースティングをやって帰ろうと思います。」と話し、「生業」のイントロが流れ出す。そこではこれまで経てきたバトルなどを通じて培った彼の自信や矜持などを、強烈なワードを織り交ぜ、様々なフローでストイックに紡いでいった。その神々しさすらも感じられる凄みを纏った姿を見せつけ幕は閉じられた。
その後、鳴り止まない拍手の中「めちゃめちゃカッコつけて帰っていったけど、CDJでアンコールされるのが嬉しすぎてすぐ出てきた」とR-指定が笑いをとると、松永は「でもあと6分で絶対締めないといけない」と冷静に返す。そこでR-指定が「ここに集まった一人一人も特別な存在なんだと伝えて終わろうとおもいます」と話し「スポットライト」がアンコールでプレイされた。全く乱れることないR-指定の完成度の高いラップ、松永が出し惜しみせずに織り交ぜたターンテーブル捌きなど、最後の最後までそれぞれ強味をとことん見せつけた。
ヒップホップの王道でもあるMCとDJというシンプルなスタイルはダイレクトにパフォーマンスの善し悪しが伝わるが、ここで2人が見せた姿は自身の言葉に偽りのない最高峰のスキルを持ち合わせている事がハッキリと分かるものだった。トリとしてステージを沸かせ続けた彼らを助演と呼ぶのは憚られるほど、見事にステージ上に主役として君臨していた。
◎公演情報
【COUNTDOWN JAPAN 19/20 supported by Amazon Music】
2019年12月28日(土)
千葉・幕張メッセ