累計販売数が700万を超え、世界45カ国で販売されるヒット商品はいかにしてつくられたのか。朝日新聞デジタルでコラム「魂の中小企業」を連載中のベテラン記者がドラマを綴り、分析を加えたビジネス書。
 女性用のフットケア用品「ベビーフット」は、使うと足裏の皮がズルリと剥ける。元々は水虫に悩む男性に売れていた。木酢液を使った液に素足をひたし、そのまま数時間を過ごすと足裏の角質がとれて綺麗になるという。価格は7800円。だが、薬事法の改正で、「水虫が治る」とうたえなくなり、売り上げが急落。ターゲットを女性に変え、値段を抑え、フルーツの酸を使用。社員三十人の会社ゆえ、社員総出でモニターになり、パッケージにも社員の足の写真を使った。社長は、20代社員を筆頭に女性のみの部署を作る。彼女たちは丁寧にフットケアのデータを取り、「足裏ズルむけコンテスト」を企画し、利用者のブログのひとつひとつに共感し、サポートする姿勢でコメントを返していったところ、やがて火がついた。言葉と伝える力がヒットを生む他例も紹介される。

週刊朝日 2014年10月17日号

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