青木淳悟は前衛的な作風で知られる現代文学作家のひとりである。その青木淳悟が、えっ、じじじ時代小説?『男一代之改革』は江戸期を舞台にした異色の中編小説だ。 主人公はあの八代将軍・徳川吉宗の孫にして、「寛政の改革」を断行した松平定信。白河藩(現在は福島県)の藩主から、田沼意次が失脚した後の江戸に上り、老中の任についたのが天明7(1787)年。定信30歳のときだった。政権交代をはたし改革に当たった…

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