
![『THE BRIDGE SCHOOL CONCERTS』[DVD]](https://aeradot.ismcdn.jp/mwimgs/d/d/300mw/img_dd57a7e9c4bed1a0e43d39596dc7b8f426155.jpg)
ニール・ヤングが長年熱心に取り組んできた社会的活動のひとつにブリッジ・スクール・コンサートがある。オーガナイザー/プロデューサーとして、カリフォルニア州マウンテンヴューのショアライン・アンフィシアターで最初のコンサートを実現させたのは、1986年10月。翌年は行なわれなかったが、88年に第2回をオーガナイズして以来、毎秋同会場で、複数のアーティストが参加するコンサートを開催し、着実に実績をあげてきた。27回目となった昨年は、CSNYが1時間以上のライヴを聞かせたことでも話題を集めた。
ニールとペギ・ヤングの最初の子供、ベン・ヤングは1978年11月28日に生まれている。ラスト・ネヴァー・スリープス・ツアー終了直後のことだ。しばらくすると、ベンは、運動や言語などさまざまな障害を負って生きていかなければならないことが判明する。重度の脳性麻痺だった。2人は治療や将来の展望に関するリサーチを徹底して行なったが、理想的な教育機関は見つからず、結局ペギが、同じ問題を抱える人たちや専門家の協力を得て独自の組織を立ち上げることとなった。それが、ブリッジ・スクール。最初のコンサートはその立ち上げ、2回目はその運営をサポートするためのベネフィット企画として行なわれてきた。
トニー・ベネット、ウィリー・ネルソン、ポール・マッカートニー、エルトン・ジョン、ブルース・スプリングスティーン、ジャクソン・ブラウン、トム・ウェイツ、トム・ペティ、シェリル・クロウ、ジャック・ジョンソン、デイヴ・マシューズ、サラ・マクラクラン、トム・ヨークなど、とてもすべては紹介できないのだが、趣旨に賛同し、音楽や社会に向けた視点でもニールと共通点を持つ多くのアーティストがブリッジ・スクール・コンサートに参加してきた。ここで紹介したのは、その25年をまとめた2枚組ライヴ・アルバム。正確な録音年は記されていないのだが、上記を含むアーティストたちがショアライン・アンフィシアターで残してきたライヴ・テイク25曲が収められている(ニール本人はCSNYと、R.E.M.との共演の2曲)。
音の面でいうと、ブリッジ・スクール・コンサートの大きな特徴は、アコースティック楽器中心のフォーマットに限定されていること(念のために書いておくと、MTVアンプラグドの放送開始は89年だから、それを意識してといったことではない)。この条件はかなり厳密なもののようで、メタリカやソニック・ユースといったバンドまでもが、もちろん彼ら自身が楽しみつつ、アコースティックに徹した素晴らしいライヴを聞かせてくれている。[次回4/30(水)更新予定]