AERA 2023年3月20日号より
AERA 2023年3月20日号より

■建設費約4022億円

 鉄道アナリストの川島令三(りょうぞう)さんは、こう評する。

「新横浜線は東急と相鉄、両社にとって念願の相互乗り入れになった」

 新横浜線の構想が持ち上がったのは00年。国の運輸政策審議会の答申が始まりだった。その後、03年に国や事業者らの懇談会が開かれ、構想が具体化した。だが、用地取得や軟弱地盤の対策などで工事は難航。当初19年4月の開業を見込んでいたが2度延期し、約4年遅れての開業となる。建設費も全線(西谷−日吉)で約2739億円から約4022億円まで膨らみ、国と鉄道・運輸機構、県・横浜市が3分の1ずつ負担する。

「東急は新横浜に直通して新幹線への利便性を図りたい、相鉄は新横浜を通って都心へのアクセスをよくしたいと考えていた。そうした両社の思いが結実した」(川島さん)

 鉄道ジャーナリストの松本典久さんは、新線開通による最大のメリットは「東海道新幹線への利便性向上だ」と言う。

「まず、東急側から新横浜に行くにはこれまで菊名(横浜市港北区)でJR横浜線に乗り換えていた。それが、新横浜に直通することで時間的に短縮され運賃も安くなる」

 例えば、渋谷から新横浜までは、菊名で乗り換え約40分かかっていたのが25分に短縮される。運賃も切符の場合、新綱島−新横浜で70円加算されながら、400円→360円と40円安くなる。日吉から新横浜まではわずか約6分だ。運賃は300円→250円(切符)。冒頭の日吉駅近くに住む男性は言う。

「これまでは菊名で乗り換えると、重い荷物を持っていると大変でした。時間も20分近くかかっていましたが、乗り換えなしで6分。驚きの速さです」

 当然、相鉄側からも新幹線へのアクセスは良くなる。

 例えば、海老名から新横浜に行く場合、所要時間が最も短いのは横浜で横浜市営地下鉄に乗り換えるルートで約45分だった。それが約25分で到着する。運賃も切符の場合、羽沢横浜国大−新横浜で40円加算されるものの、570円→400円と170円も安くなる。

■新横浜駅始発「のぞみ」

 JR東海も動いた。

 新横浜駅始発の東海道新幹線「のぞみ」を、新線開業日に合わせ初めて運行する。

「首都圏から関西地区にもっとも早く到達できるようになるため、一定程度のご利用があると推定しています」(同社広報部)

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