独特の言い回しやトゲのある発言。「おネエ」と呼ばれる人々が話しているのをテレビ番組で毎日のように見かけるようになったのはいつからだろうか。本書は「おネエ」たちの喋りがどこから来て、どこに向かうのかを考察した1冊だ。
「おネエことば」のルーツは1940年代後半の男娼にまで遡るが、90年代まではゲイの人々の中で独自のものとしてひっそりと存在していたという。一般的に広まったのは2000年代以降。ゲイの市民権獲得の運動の盛り上がりなどとは直接的な関係はなく、テレビ番組の内容の変化やテロップを多用する編集方法の登場が意図せずに「おネエ」たちに活躍する機会を与えることになる。同時にアイデンティティとしての言語様式だった「おネエことば」が商品化することで、コメディー性を強化するための言語様式に変容していくとの著者の指摘は興味深い。
 著者はオーストラリア出身。外国人の視点から日本語を見つめることで、我々が気付かなかった日本語の持つ柔軟さを浮き彫りにしている。

週刊朝日 2014年2月14日号

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