キヤノンEOS 5D MarkII(左)と「最近、衝動買いしてしまった」というキヤノンEOS 7D。レンズは、70~200ミリF2.8や24~105ミリF4、シフトレンズのTS-E24ミリF3.5などそれぞれに異なる表現の味わいを楽しんでいる
キヤノンEOS 5D MarkII(左)と「最近、衝動買いしてしまった」というキヤノンEOS 7D。レンズは、70~200ミリF2.8や24~105ミリF4、シフトレンズのTS-E24ミリF3.5などそれぞれに異なる表現の味わいを楽しんでいる
毎年3月、東大寺二月堂で行われる「お水取り」(修二会)は多くの参拝者でにぎわい、燃えさかるお松明に歓声が上がる。写真は全長6メートルを超えるお松明に点火した瞬間で、ふだんは見ることができない。楽曲「修二会」を作詞作曲するなど、親交のあるさださんならではのカットだ
毎年3月、東大寺二月堂で行われる「お水取り」(修二会)は多くの参拝者でにぎわい、燃えさかるお松明に歓声が上がる。写真は全長6メートルを超えるお松明に点火した瞬間で、ふだんは見ることができない。楽曲「修二会」を作詞作曲するなど、親交のあるさださんならではのカットだ
長崎・思案橋近くの細い路地は間口の狭い店が並び、通称「ハモニカ横丁」と呼ばれている。夜の薄明かりの中、デジカメの特性を生かして雨上がりの路地が写しだされ、家々のディテールが見事に描写されている。通りの雰囲気が伝わってくる
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長崎・思案橋近くの細い路地は間口の狭い店が並び、通称「ハモニカ横丁」と呼ばれている。夜の薄明かりの中、デジカメの特性を生かして雨上がりの路地が写しだされ、家々のディテールが見事に描写されている。通りの雰囲気が伝わってくる
富士山が好きで、搭乗した飛行機からよく撮影するというさださん。空気が澄んだ真冬、雲海から雪を抱いた山頂をのぞかせた富士が雄大な姿でとらえられている。レンズは70~200ミリF2.8を使用、夢中でシャッターを切ったという
富士山が好きで、搭乗した飛行機からよく撮影するというさださん。空気が澄んだ真冬、雲海から雪を抱いた山頂をのぞかせた富士が雄大な姿でとらえられている。レンズは70~200ミリF2.8を使用、夢中でシャッターを切ったという

――カメラとの出合いは?

 高校時代、下宿先の大家さんの息子がカメラ好きで、現像もしていたので教わったりしていました。撮った写真を自慢そうに見せてくれたのでほめたら、すごく興味があると思われて(笑)。写したものを印画紙に定着させるなんて初めて見たから、「こんなことできるんだー」って感心してね。ニコンの小型カメラを安くゆずってもらって、自分で暗室に入っていた時期もありますよ。その作業が楽しかったですね。でもあっちこっち写してたらお金がなくなって、「あーこれは大変だなぁ」と思いました。それで、お金もなくてやめちゃってたんですけどね。

――EOS 5D MarkIIはなぜですか?

 前にキヤノンのボディーを持ってて、キヤノンのレンズばっかり持ってますから。レンズが高いからね(笑)。レンズって明るさが違うだけで、全然違うものが撮れるでしょう。見てるものと、写真に定着するものの差っていうのを初めてこのカメラに教えられたというか。「ああそうか、見てるまんま撮ったってつまんないんだ」と。やっぱりぼくらの目のほうがうんとすぐれてるから、カメラで撮ることを理解してシャッターを押さないと、錯覚したような、どうでもいい写真しか撮れなくなっちゃうということを教わったですね。たとえば東大寺二月堂の「お水取り」によくいくんですけど、和上が部屋の中でぼくらにお茶をふるまってくださるときの一瞬の表情とか、お松明(たいまつ)にドン!と火のついた瞬間とか。あの薄暗い中ではこういうデジカメでないと無理ですよね。6400くらいまでISO感度を上げて何枚か撮るんだけど、フォーカスが合わないじゃないですか。まあ、それがよかったりするんですけどね(笑)。ブレてて、すごい臨場感があったりして……。

 そういう楽しみを覚えると、こんどは旅先に持って歩くようになりました。撮ってると自分がどこを歩いてきたかもわかりますしね。飛行機の中から風景を撮るのもいいですね。俯瞰で撮ることなんてなかなかないし、ぼくはけっこう田舎者だから富士山が好きでねえ。富士山めがけて飛行機に乗ります(笑)。長崎帰るときは、(座席は)左の窓側。揺れてるからほとんどブレてるんだけど、夢中でパシャパシャ撮ってると、たまに登山道のギザギザにきれいにフォーカスが合ってたりしてね。神様がくれたような奇跡的なことがときどき素人にも起こりますね。シャッタースピードとかISO感度とか、デジカメって自由自在にトライできるじゃないですか。同じものを撮るのでも5種類くらいインプットしてダダダダッと撮ってチェックできる。この傾向だな、と思ったらそこに合わせて撮れるから、そういう意味ではデジカメさまさまですね。ぼくはデジタルともっとも対極にあるような仕事をしてるので。

――デジタルも悪くない?

 そうですね。小説も書くようになりましたけど、パソコンが登場しなかったら小説なんて一生書けなかっただろうと思うんですよ。原稿をよごすのがきらいだから書き損じっていやなんです。コピーペーストが自在にできて、「違う」と思ったら元に戻せる。これができるようになって小説を書く気になったんです。原稿をプリントアウトするのもフォントにお金はかかりますけど、自分のイメージどおりきれいにできると、「よっしゃあ!」って感じですね。

――そういうご自身の写真から曲が生まれることはありますか?

 うーん、あるでしょうね。あざといので人には見せないけど(笑)。ドラマのあるような絵がポッと撮れたりすると「おお!」と思いますね。ぼくは写真集を見るのも大好きですし、だれが撮ったのでもいいから感動的な写真を見て、そこから物語をときほぐしていくとか、その一枚が物語の最後にくるように想定する、というのはわりと好きでやりますね。ぼくの歌も必ずそうです。最後は一枚の絵におさまる、あるいは一枚の絵がほどけて物語が始まる……。だから落ち着いた写真が好きです。

※このインタビューは「アサヒカメラ 2010年8月号」に掲載されたものです