水中撮影で愛用しているオリンパスμ710と専用ハウジングPT-032。素潜りの際、片手で操作するのでとにかく小型というのが選定の理由だ。刻印がかなりすり減っており、相当使い込んでいるのがわかる。オリンパスE-410には25ミリF2.8をつけ、街のスナップや自宅から夜景などを撮っている
水中撮影で愛用しているオリンパスμ710と専用ハウジングPT-032。素潜りの際、片手で操作するのでとにかく小型というのが選定の理由だ。刻印がかなりすり減っており、相当使い込んでいるのがわかる。オリンパスE-410には25ミリF2.8をつけ、街のスナップや自宅から夜景などを撮っている
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沖縄・池間島で海上に浮かび、親子を点景に自分の足(フィン)を入れて広角で撮影。抜けるような青空と透明感のある海が美しい、南国ムードたっぷりの写真だ
沖縄・池間島で海上に浮かび、親子を点景に自分の足(フィン)を入れて広角で撮影。抜けるような青空と透明感のある海が美しい、南国ムードたっぷりの写真だ
これがの得意ワザのバブルリング。上昇するに従い大きく広がっていく。「口の中に空気をためて、水の流れを読んでパっと吐く」のが形よくつくるコツだという
これがの得意ワザのバブルリング。上昇するに従い大きく広がっていく。「口の中に空気をためて、水の流れを読んでパっと吐く」のが形よくつくるコツだという
自分でつくったバブルリングの中をくぐり抜けるシトロバルさん。悠々と泳ぐ姿はマーメイドのようにも見える。沖縄・宮古島八重干瀬で(撮影・白鳥岳朋)
自分でつくったバブルリングの中をくぐり抜けるシトロバルさん。悠々と泳ぐ姿はマーメイドのようにも見える。沖縄・宮古島八重干瀬で(撮影・白鳥岳朋)

――ダイビングにハマったのがきっかけだそうですが。

 はい。2003年から素潜りを始めました。海の中がすごくキレイ!って感激して、すぐに撮りたいと思ったんです。最初は、レンズ付きフィルムの防水タイプとフィルム式の防水カメラを使っていました。それで南伊豆の海中を撮っていたんですが、もっとたくさん撮りたくなって、オリンパスμ710と専用のハウジングを購入しました。

 海の世界に出合って、すぐスキューバのライセンスも取りましたが、不幸なことに500ダイブに1人という減圧症にかかってしまいました。だけど潜ることと撮ることは諦めきれず、再発の心配もない本来の素潜りスタイルに戻りました。安全に潜ることに関して周囲に呼びかけてもいますね。

――素潜りとスキューバだと撮れるものが違うとか?

 スキューバは一カ所に長くとどまることができるから、じっくりとねらうような撮り方に向いていますよね。素潜りは息を止めている間、気泡が出ないので上手に潜れば魚が逃げないんですよ。だからすぐそばまで寄って、迫力のある写真が撮れます。海中植物も、そっと寄れば花房を閉じないのでいい瞬間をねらうことができます。

――今じゃかなりの深さまで潜るそうですね。

 素潜りで、今年は最深24メートルまでいきました。フリーダイビングのトレーニングもしてます。

――写真もたくさん撮ったと聞きました。

 そう、最初はだれもがハマるクマノミ(笑)。まずは素潜りでマクロでねらってたくさん撮ったんですが、できあがってみると全然ダメ。逃げちゃうしピンボケだし。息も続かなかったですね。「深いけど、そこに撮りたいものがある」と思う気持ちから、素潜りが上達していきました。ウエートを3キロ前後腰につけて体をしっかり固定させ、落ち着いて撮れるようになってから、自分でも納得のいく写真になっていったように思います。もうクマノミは全種制覇しました(笑)。今はワイドの時代かな。マクロも面白いですが、広角で広がりのある写真が面白いですね。南伊豆で調教されているイルカと一緒に潜って撮影もしていました。海外では野生のクジラに出合ったこともあります。生き物たちにはいつも感動します。

――なぜオリンパスμ710を?

 私けっこう凝り性で。ネットで丹念に調べたりして、やはり素潜りで撮るには小さなサイズがいいと思ってオリンパスにしました。当時オリンパスはダイビング仲間に使っている人が多かったので。ソニーのサイバーショットも気になったし、フジのファインピクスも「いい色だなぁ」なんて思っています。

――オリンパスのCMソングを作曲したそうですね?

 はい、偶然なんですが、お仕事の依頼がきて、07年に発売された一眼レフ、E-410の店頭VP(ビデオパッケージ)の曲を作りました。海や旅をイメージしながら、宮崎あおいさんに似合う雰囲気で、自分が旅行するときに羽田へ行くまでの気持ちや旅愁なんかを盛り込みました。最近友人から、そのE-410を借りて地上の写真も撮っています。こちらもハマってます(笑)。曲はホームページの「myspace」から試聴できますので、ぜひ!

――水中撮影のモデルもされてますね。

 やはりお仕事を通じて写真家の白鳥岳朋さんと知り合い、ときどき撮ってもらうようになりました。撮られるとわかることもあるんですね。撮る人にとっての撮りやすい位置や光の加減なんかを考えるようになりました。あと、バブルリング。コツを得るまで大変でしたが、最近は自信があります。二重三重につくって下から眺めていると別世界の気分にひたれます。つくった人にしか見られない特等席から撮っています。

※このインタビューは「アサヒカメラ 2009年12月号」に掲載されたものです