国家間の秩序から経済、文化まで、いま世界は根こそぎ変わりつつある。混沌とした世界をどう理解すればいいのか。国際政治、経済、ITなど各分野の最高の頭脳7人にインタビュー、未来構築のためのヒントを探る。
 人はいかに決断するのか、選択の原理を解明したアイエンガー、デジタル世界との融合で製造業の常識を変える「メイカーズ革命」を実践するアンダーソンなど、どれもおそろしく刺激的。異なる専門分野、異なる文化に立つ複数の視座から語られることで、入り組んだ世界の核心部分が鮮やかに浮かび上がる。
 システムがオープンなアメリカに比べ、日本は閉鎖的で変化を嫌うというおなじみの指摘もある。面白いのはイノベーションの専門家・クリステンセンが、ソニーはウォークマン以降、社会の価値観を変える破壊的イノベーションを一つも出せずにいると述べる一方で、いま絶好調のアップルも近く同じ轍を踏むだろうという予測をしていることだ。
 好調な国のやり方をただなぞっても意味はない。自国にふさわしい独自の方法を見つけることこそ重要だと教えている。

週刊朝日 2013年11月29日号

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