千田:さまざまな視点から考えられるのも城歩きの楽しみです。平山先生と神奈川県の三増(みませ)峠を一緒に歩いたとき、平山先生は古文書が頭に入っているから、それを現地で教えてもらえる。最高でした。

平山:三増峠の信玄本陣跡からは小田原方面、平塚方面が見えるので、三増峠の戦いのとき北条の本隊が近づいてくるのがわかったはずです。とにかく、現地を歩いて当事者になったつもりで歩く。そこからじゃないですか。上杉謙信が好きだったら謙信の気持ちになり、兵士になったつもりで、城に近づいてみる。そして目の前の城を謙信たちがどんなふうに見たかを想像してみる。今はなくなってしまった天守の姿を想像してみるのも楽しみ方じゃないでしょうか。自分なりの楽しみを見つけて歩いてみる。他のところへ行って、自分なりの発見やこういう見方もあるなと思いついたらもう一回行って検証してみればいい。

千田:城は春、夏、秋、冬とそれぞれ季節を感じられます。一人で行くのはじっくり充実した時間です。素敵な人と一緒に行けば共通の思い出になりますし、ご家族で行くのもいい。いろんな城を訪ねると、一つひとつの城の違いや特色がだんだん見えてきて、どんどん楽しさが深まります。現地で見て専門家の言葉じゃなくて自分で歴史や武将を感じる。もうそれに尽きます。城は政治や経済、文化の中心だったので、それぞれおいしい名物もあります。文化や食やお酒も一緒に味わうのが、城歩きの楽しさのプラスアルファのところじゃないかなと思います。

(構成/本誌・鮎川哲也)

週刊朝日  2023年3月17日号より抜粋

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